ねこやまローカボ日誌

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中学受験ブログ⑰ 生徒の思考時間を延ばすために、安心感のある問題を繰り返す

生徒の思考時間を延ばすために、安心感のある問題を繰り返す

 

瞬時に途切れる、生徒の思考。

 

多くの講師が苛立ちを覚える、生徒の思考時間。

その時間の長さは、生徒によって大きく異なる。

 

15分は耐えると思った、生徒の思考時間。

しかし実際には、そんなに長持ちすることは多くない。

 

思考能力を引き上げる、繰り返し演習

私はもう一度、馴染んだその方法に戻ることにした。

 

 

これは一人の中学受験生と体験した、2年間の受験記録。

お時間のある際にでも、お読みいただければ幸いだ。

 

~ 過去のバックナンバー ~

 

 

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悩んでいるふりをする、最悪の思考循環

悩んでいるふりをする、最悪の思考循環

 

授業の終了後に、良く考えることがある。

生徒はいったい、どんな思考を持っているのだろうと。

 

考えているようで、考えていない時。

かと思ったら、いきなり思わぬ回答を見せてくれる時。

 

生徒の思考内容は、いつもに満ちている。

その思考方向は、きっと私たちのそれとは少し違っているはずだ。

 

 

そんな妄想を、授業終了後の講師たちと行きつけの中華料理屋で話し合う。

お酒を飲みながら、楽しく名物鶏唐揚げをつまみながら。

 

誰もが皆、自分の生徒を合格させたい。

それは名誉給料やりがいなどの、様々な要素が絡んでいる。

 

そのため、その手の会話はみんなの大好物。

我先にと自身の哲学を展開し、互いの理論に水を掛け合う。

 

しかし当然、話は次第に脱線する。

23歳の新人が、飲み会で終始真面目な話をすることは殆どない。

 

結果として、何も悩みは解決しない。

いつも答えが出ないまま、うつろな目線で紹興酒を眺めている。

 

コウスケが思考できなかった日も、全く同じ。

答えはいつも、生徒のやる気の問題で片付けられてしまう。

 

そしてすぐに始まる、次の授業。

この繰り返しで、あっという間に時間は過ぎていく。

 

 

この悪循環を、私は何度も経験した。

そしてそれは、他の多くの塾講師も同じだと思う。

 

講師が感じる、最悪の思考。

それは、悩んでいることへの満足感かもしれない。

 

 

生徒に関する悩みを持つこと。

それはいつも、私を仕事をやった気にさせてくれた。

 

自分はこんなにも、生徒のことを悩んでいる。

そしてそれは、きっと良い方向に向かうはずだ。

 

中には何も考えず、ただ授業をするだけの先生もいる。

それに比べて、僕は何て一生懸命なのだろう。

 

 そんな優越感に似た思考が、常に渦巻いていた。

しかし結果を出していない点で、全ての講師と同じである。

 

 

そして当然、その理由も分かっていた。

悩んでいるのに、なぜ結果を出せていないのか。

 

それは単純に、答えを出していないから。

悩んでいるだけで、具体的な施策を講じていないためである。

 

コウスケの思考が長続きしない。

でもそれは、きっと性格的なものだろう。

 

性格的なものだったら、仕方がない。

自分の生徒に見合った、勉強方法を探すしかない。

 

そう考えて、根本の悩みをうやむやにする。

最初の目標だった、思考できる状態にすることを諦める。

 

 

そしてその間にかかった、数カ月の時間

これはただの試用期間になり下がる。

 

具体的な目標を持ち、演習に取り組ませる期間とは違う。

ただよさそうな事を実践し、早めに諦めているだけ。

 

そして最後に辿り着く、生徒の性格理論

全部をうやむやに終わらせる、最悪の結論である。

 

 

何と厄介な自己満足。

こんな事を繰り返していれば、そりゃ受かるわけがない。

 

それどころか、成績一つも上がるわけがない。

講師がイメージする将来の図が、根本からグラグラなのだから。

 

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もう一度帰ってきた、生徒を観察する日々

もう一度帰ってきた、生徒を観察する日々

 

もう少しで解けそうな問題。

 

そんな問題に出会った時、恐らく生徒は思考できる。

それとは逆に、あまりに難しすぎる問題に出会ったらどうだろう。

 

恐らくその場合、生徒の思考はピタッと止まるだろう。

それはきっと、何かの理由があるはずだ。

 

 

私はもう一度、昔の勉強方法に戻ることにした。

入塾から三カ月を費やした、あの超反復期間に。

 

とにかくひたすら、同じ内容を解かせる。

そしてそこから、問題に対する反応経路を作り上げる。

 

そしてその間、他の問題には一切触れない。

自分が取り組む目の前の、特定の分野のみを思考する期間である。

 

 

毎回同じ問題文と、同じ行動を行う問題の主人公。

毎回同じ計算式を立て、当然同じ回答を導き出す。

 

一見、何も効果を持たないようなこの時間。

しかし時間をかけて生徒を観察することで、多くの要素が見えてくる。

 

 

どんな時に、生徒の手が止まるのか。

どんな問題文の時に、計算式が思いつけなくなるのか。

 

コウスケが得意な計算は、何なのか。

問題文が長くなった時、最後まで読めるのか。

 

 

繰り返し同じ問題を解きづつけ、次第に積み重なる経験値

その経験値には、様々なメリットが存在する。

 

最初の三カ月で感じた、反復法のメリット

それは夏前の段階で、簡単に以下の通りだった。

  

反復法によるメリット
  1. 最初から問題の足がかりがあるため、生徒が手を出そうとする
  2. ある程度計算式を覚えているため、パズル感覚で解き進められる
  3. 大量に量をこなせるため、生徒の学習体力がつく
  4. 常に思考する状態が継続するため、思考する感覚が身につく

 

 

そしてさらに、もう一つのメリットが存在する。

それは彼ら小学生にとって、非常に重要ななことである。

 

それは、飽きないこと。

 

意外なことに、同じ問題を何度解こうとも彼らは飽きづらい。

むしろ繰り返し100点を取る環境に、快感すら覚えている。

 

アンパンマンのアニメを、子供が一日に3回もねだるように。

擦り切れた絵本の音読を、毎晩父親にせがむように。

 

彼らが大好きなのは、物事の安心感

絶対に解ける安心感は、彼らの快感に変わるのだ。

 

 

最後にバイキンマンの頬を必ず捉える、予定調和的なアンパンチ

例外なく鬼を撲滅する、黄金に囲まれた桃太郎

 

その安心感とは、彼らが快感を感じる一つの要素。

そして勉強への障壁の高い生徒には、その要素も非常に重要である。

 

もちろん、それは問題レベルが低すぎても効果はない。

あくまで解ける快感を感じる、少し上の問題が好ましい。

 

 

私はもう一度、このメリットを再確認した。

そして再度、コウスケの思考力を鍛え上げると心に決めた。

 

私たちが立ち向かうべき、クラス分けテスト

その問題でも、思考のスイッチは無事入った。

 

後はその思考時間を、徹底して延ばすだけ。

それには、監視しつつ同じ問題を繰り返させるだけ。

 

この様々なだけを、あとは徹底して繰り返すだけ。

同じことを繰り返す力を、コウスケに身に着けさせるのだ。

 

~ 次回⑱回に続く ~