中国旅行記最終話 旅の終わりのハロウィン上海ディズニーランド
中国バックパッカー、最終日。
いつもの日々に戻る、旅と日常の境目の一日。二週間の中国横断も、今日でラストなのか。
そう思うと突如沸きだす、圧倒的なモチベーション。今日一日をどれだけ楽しめるか、それだけが本日のお仕事だ。
旅の終わりの上海ディズニーランド
10月24日。
窓から差し込む過去最大の眩しい光で、思わぬ早朝に目を覚ます。街を見下ろしても人はあまりおらず、最高に心地良い快晴のお天気だ。
遂に最終日を迎えた、中国のバックパッカー。ラストの本日は、あの夢の国にお邪魔するだけのハイテンションな一日である。
夢の国の名前は、上海ディズニーランド。まだ開園から一年と三か月、新品ピカピカの楽園だ。
週末は沢山の人々で溢れかえるだろうこの場所も、火曜日である本日ならどうかな。もしかしたら結構ガラガラで、乗り放題かもしれないね?
そんなことをもちこに話すと、一瞬で切り落とされる。ディズニーなめんなと。
どうやら週末ディズニーとは、私の想像を遥かに超える混雑っぷりらしい。さらに新しい上海ディズニーになれば、どれだけ足の踏み場がないかガクブルとのこと。
ディズニーは日本だけ。
そんな投石されそうな予備知識しかない私には、なぜ朝6時に起きるのか極めて不思議。ただ無茶苦茶早く行った方がいいから!と、相方もちこの助言を鵜呑みにするしかない。
ただ旅の最終日に早く起きるのは、もちろん大賛成。残された24時間を、すこぶる楽しむ所存である。
早速ごそごそシャワーを浴び、朝ご飯に出陣しよう。どうやら朝は念願のビュッフェを頂けるらしく、朝から大変にご機嫌である。
これ全部食べて良いんだって…。
朝ご飯会場に向かうと、その取り揃えに思わずため息が出る。ずっと10元で朝を済ませてきた私達に、このビュッフェは犯罪的だ。
そういえばホテルとは、本来こうだった。ソーセージを嫌がられるほど山盛りにする、それが本来の朝ご飯だったんだ。
最高です。
そもそも二種類以上のおかずがあることが、快挙的である。大好物のスモークサーモンもあり、熊が嫉妬するくらい食べてしまう。
流石はナイスホテル。朝からこれほどテンションをぶち上げていただけるとは。
こういうちょっとずつ色々食べられる、丸の内弁当的なご飯って最高だ。そんなことをもちこに伝えると、OLかと一蹴される。
んもう、全種類行っちゃおう!
全料理を味わうことに目標を設定し、朝からモリモリ頂戴する。本日はきっとディズニーご飯だから、きっと満腹にはならないだろう。
この中国の価格バランスから考えて、上海ディズニーランドのご飯が安いわけがない。きっとお子様がフリーズするような、超観光地プライスに違いない。
ということで、冬眠前のクマの様にモリモリ食べる。ちなみにお皿手前のクリームチーズツナサラダは、顎が外れるほど美味しかった。
結局30分ほど食べ続け、冬眠に適したお腹になってしまった。ただすぐに出発しなければ、ディズニーラッシュに巻き込まれてしまう。
そしてお部屋のパンを二個持ち出し、悪い顔で出発する。タダで泊めていただいたにも関わらず、何という仇の返しっぷりだ。
気をつけてな。
途中で愛らしいワンちゃんにも見送られ、もう気分も最高潮。どうやら最高に楽しい一日になりそうだ。
しかし君、タンポポみたいな髪型だね。良く飛びそうだ。
駅は早朝にもかかわらず、沢山の人々でごった返す。さすがは上海中心部、外資系などのスーパーエリートもいらっしゃるんだ。
逆に駅に向かう人は少なく、すいすい駅構内を移動する。ここから約1時間、早く行かないとミッキーの勤務時間が終わってしまう。
ただ見知らぬ街の地下鉄って、やっぱり複雑だ。駅名も全部漢字のため、一つ一つ指さし確認しつつ探さなければ。
ディズニー駅、ディズニー駅…。
そんな探し方をしていると、そんな駅名じゃないでしょとツッコまれる。確かに良く考えれば、日本でもミッキー駅とかじゃなかった。
ただ、意外と似てた。DISNEY RESORTと書いてある、この駅だ。
どうやら結構な乗り換えが必要らしく、やはり所要時間は一時間弱。開園時間には、ギリギリ間に合わないかもしれない。
慌てて目の前に飛び乗り、一路目指すは上海ディズニーランド。可能ならば、もう今から耳とかつけちゃいたい気分だ。
電車に揺られながら、アプリで混雑具合を確認するもちこ。どうやら最先端の上海ディズニーでは、事前に列の長さをチェックするのが当然らしい。
ほー( ゚Д゚)とお勉強になった顔をしていると、何やら車内の雰囲気が少し変わる。一人の女性が、隣の車窓から何かを叫びながら歩いてくるのだ。
耳いりませんか!?
全ての乗客に、いきなり耳を売り始める一人の女性。もちろん耳と言っても、耳なし芳一系の耳ではない。
それはいわゆるミッキー耳。あのべらぼうに可愛い髪飾りを、ここぞとばかりに売り始めたのだ。
凄まじい勢いで全乗客に話しかける、肝の据わったおばちゃん。明らかに怪しいミッキー耳を、微妙に低価格で売りつけてくる。
え!?ここでミッキー耳買えるの!?並ばなくていいじゃん!!
ラッキー!!んじゃ、一個頂戴!
…って、誰が言うんだ。
折角の初ディズニーなのに、パチモノなんて絶対嫌だ。ディズニー感、根こそぎ持っていかれてしまう。
しかもなぜか、スーツ姿のサラリーマンにまで声をかける。そのお耳で会議に参加したら、クビになっちゃうぞ。
そんな中国らしい光景に遭遇しつつ、遂にミッキーの家に到着する。心なしか人々の足取りも軽く、随所にミキ耳を付けた女性たちが沢山だ。
もうすぐトゥイーティーに会えるんだ。あの全身黄色の、魅惑の塊に…。
そう思いながら、ずんずん改札を目指す。ディズニーランドとは、実は駅から始まっているのかもしれない。
ちなみにトゥイーティーはディズニーじゃない。そう知ったのは、日本に帰国してからだった。
ちなみにヒヨコですらないらしい。さらにオスらしい。
遂に始まるハロウィン上海ディズニーランド
そんな事とはつゆ知らず、一直線に人混みの中を駆け抜ける。一人でも追い抜けば、早く乗り物に乗れると思いながら。
急げ急げ!というか、火曜日なのに人凄いな!
中国であることをいいことに、どけどけー!ともちこも日本語で殴り込む。この中国で気を抜こうものなら、1秒で3人に割り込まれてしまう。
もう遠慮を感じさせない猪突猛進で、開演前のディズニーに整列する。どうやらギリギリ開園には間に合ったらしく、息を切らしつつ列に付く。
ちなみにこちらが、購入したチケット。どちらもわんこのキャラクターで、風水的に良さそうだ。
お値段は平日のため、一人一日370元(約6.290円)。こちらは成人料金であり、お子様(身長140㎝以下等)・ご年配(65歳以上)・障害をお持ちの方(証明書必要)に関しては、25%OFFが適用される。※身長100㎝以下の幼児は無料
また土日祝日・7月8月の夏休みに関しては基本料金が499元(約8.483円)、さらに二日券を購入された場合には、5%OFFのティンカーベルの魔法がかかる。
ただこちらは2017年10月現在の価格であり、2018年6月には値上げが行われるらしい。しかしこちらのお値段で一日夢の国の住民になれるなら、お安いんじゃないかな。
もちことそんな会話をしていると、目の前に突如お出迎えが現れる。それはもちろん、世界で最も人気なネズさんだ。
ミ、ミッキーだ!!
冷静に見ればミニ―だが、ミッキーの登場に狂喜する。しかもどうやらハロウィン仕様らしく、カボチャのヘッドが最高にキュートである。
ただ人混みは凄まじく、隙間が空くと即座に割り込まれる。特におばちゃん方の割り込みがえげつなく、結構強めに注意しても (*‘∀‘)?と平気な顔をされてしまう。
ちょっと笑いそうになりながら、何とか列の場所を死守し続ける。すると突如後方から、笑えない怒鳴り声が響き渡る。
开什么玩!!!
思わず周囲100mの人々が振り返る、突然の怒号。凍り付くような怒声が、入り口付近で繰り広げられる。
な、なんだなんだ…。誰が何に、何をお怒りなんだ…。
するとそこには、一人の女性が。そしてそのご両親らしい、二人の男女がいらっしゃる。
そしてその女性がご両親に向かい、なぜだか猛烈に怒っている。その理由は全く分からないが、血管が切れそうなほどに激おこである。
もちこに訳して貰おうするが、もう怒り過ぎて何を言っているか聞き取れないらしい。そして挙句の果てには、止めようとする従業員に猛烈に掴みかかる。
(;´・ω・)
この夢の国で、なにも家族喧嘩しなくても…。しかもちょっと引くくらい、ブチ切れてるじゃん。
どうやら推察するに、ご両親がチケットをなくしたらしい。そして目の前でミッキーのお預けを食らった女性が、怒り狂ってしまったご様子なのだ。
ああ、あの感情は怒りと失望なのか。確かにここまで来て入場できなかったら、子供なら破壊神になる。
ただ、こんなに切れた人を見たのは初めてだ。人はあまりに切れ過ぎたら、自分のお財布まで投げてしまうんだ。
しかし周囲の方々は、そんなことはお構いなし。日常茶飯事だと言わんばかりに、笑顔で夢の国に入場する。
私も先ほどのテンションを思い出し、一気に園内に雪崩れ込む。皆が入園直後に猛ダッシュし、各自お目当てのアトラクションに走り出す。
ドラキュラミッキーだ!
流石はハロウィン仕様、入り口の花のデザインまでも一味違う。至る所に普段と違う、変わったミッキーが顔を出す。
きっとディズニー好きには堪らない光景なんだろうな。隠れミッキーを探そうと思ったが、ハロウィンミッキー探しで大忙しだ。
そしてここからは極力ネタバレしないよう、その興奮をご紹介させていただきたい。これから上海ディズニーランドに向かわれる方の、初めてを邪魔しないように。
もし園内のデザイン等もお楽しみにされていらっしゃる場合、読み飛ばしていただければ幸いだ。それほどこの上海ディズニーランド、広大で美しい場所だったから。
…からの、突然の主役の登場である。
一瞬ミッキー像かと通り過ぎそうになるが、右足をちょっと出す独特のポーズで手を振りはじめる。こちらもやはり、ちょっとハロウィンっぽいおめかしだ。
これはイケてらっしゃる。いきなり主役のお出迎えとは、なんて吉日だ。
ミッキぃぃー(*‘∀‘)!!
速攻リア充になるミッキー。なんというモテっぷり。
ここは私もいつもTVで拝見しています!と、挨拶したい。だが男性である私が、握手を求めて良いものか…。
もし真顔で握手を求めても、ミッキーも困惑するかも。営業か?と、名刺交換モードになったらどうしよう。
あまりの人気に挨拶ができず、諦めてアトラクションへと猛進する。ただ内部は撮影禁止のため、ここからは外部写真と感想だけをご紹介させていただきたい。
まず最初に向かったのが、ピーターパン。正直一度も拝見したことはないが、もちこ曰く童心に帰れるパワースポットらしい。
3Dの様にふわりと浮かぶ夜の街を、専用の船でひとっ飛び。並び時間は40分程度と、なかなかに人気のアトラクションだ。
並ぶ最中もお子様が多く、目をもうキラッキラさせている。ピーターパンに会える!と興奮しているのか、幼少期独特の叫び声で激アゲだ。
そして実際の感想は、めちゃ楽しい。
それはまさに成人しても遅くない!空を飛びたい!と、切に願う作品。ただそれを職場で話すと、ネバーランドに飛ばされるかもしれない。
そして次に向かったのが、TRONというSF系のアトラクション。こちらは写真の通り、近未来バイクでブイブイ超高速移動する作品だ。
最初はモニターにリアルな映像が出るのかな?と思っていたが、そうではない。実際にバイクにまたがり、外から中からジェットコースターの様に暴れ狂うのだ。
その事実に気が付いたのは、乗る直前2分前。怖くないで?ともちこに連れられたものの、完全に騙されたことに気が付く。
そしてその感想は、メチャ速い。
もうシェイカー内のプロテインの様に、グルングルン回転する。そして周囲に近未来の映像が散りばめられ、大変なトランス状態だ。
この作品は、ジュースを飲みまくったお子様には非推奨かもしれない。結構、胃に来るんだ。
ただ怖いかどうかと聞かれたら、どどんぱの方が5倍怖い。しかし爽快感は桁違い、自分が近未来ポリスで、犯人をチェイスする錯覚に落ちる。
しかし、たのすい!
もう猛烈にたのすい。夏休みの初日くらい楽しい。海で花火しながらキャンプするくらい楽しいんだ。
想像以上にレベルが高く、特に映像効果に驚かされる。3D技術やホログラフ、様々な最新技術が私達を楽しませてくれる。
そして二作品を堪能したところで、お昼ご飯だ。こちらも大変混雑しており、午前中に三つ乗る!という計画も、実現できなかった。
そしてその興奮をより高める、通称ディズニー飯。様々な種類のお店があるが、ここは一番近場のバーガー系のお店に突撃しよう。
まだポケットには旅の残金もあるし、逆に使いきれない可能性すら出てきた。ここは一個40元(約680円)くらいのバーガーでも、全然楽勝だ。
そして火曜日に関わらず、満員御礼。きっとディズニーには、曜日は関係ないんだ。
私達を含めた外人も非常に多く、沢山の人々が食事を楽しまれている。次は何乗る!?と、年齢・国籍問わず大盛り上がりだ。
なぜ私は、今までディズニーランドに来なかったんだ…。
よく耳にする話だが、本当にそう思ってしまう。これは新橋や歌舞伎町とは、全く別の楽しさだ。
そして到着する、キムチバーガー。こちらは中から大量のキムチが飛び出す、なかなかの意欲作である。
韓国風と銘打たれた逸品だが、思わずその香りに魅了される。陽朔で食べた激マズBLTサンドの一件もあるし、果たしてお味はいかがだろう。
どでかいチキンに、辛みが優勢な甘みのソース。カリッと揚がった衣に、フカフカバンズが何とも美味しい。
流石はディズニー。ここで激パサバーガーを出さない当たり、やっぱり夢の国である。
ここで激パサパンなど出そうものなら、魔法が一気に溶けてしまう。ご飯って、やっぱりすごく大切だ。
そしてもちこは無難に、チキンバーガーをもりもり頬張る。ポテトうめぇ!と叫びながら、次のアトラクションの待ち時間を入念に計算している。
しかしこのディズニー飯を食べると、なぜディズニー愛が燃え上がるんだろ。ミッキーが描かれたペプシのカップすら、持って帰りたくなってきた。
そう考えながらも、もりもりエネルギーを補充する。きっとこれから晩御飯まで、ノンストップでこの楽園を暴れまわることになるから。
そしてふと手渡される、お昼飯のレシート。一体、どれくらいしたんだろ?
160元…。
( ゚Д゚)ナンデスッテ
外はお昼代を忘れさせるほど眩しく、そして園内は広大。上海ディズニーランドも、やはり中国サイズだ。
きっと国慶節のような超巨大連休になると、この広さでも足りないんだろう。ギュッギューの人混みに、ミッキー耳が飛び出している光景が目に浮かぶなぁ。
感動に震える素敵なアトラクション
そんなことを考えつつ、園内を突き進む。残り時間で、いくつのアトラクションを回れるだろう。
そういえばこのシャン二ーランド、水系のアトラクションがすごいらしい。ここはちょっと、アレに突撃しておこう。
パイレーツオブカリビアン。
最終的に三回乗ることになる、意外と並ばなかった極上アトラクション。これがまた、至上にたのすい。
入り口にはあまり海感がなく、海賊がカンカン戦うのかな?と思いつつ列に並ぶ。演者さんが出てきて、舞台の上でいろいろやっちゃうのかな?と。
そして撮影可能範囲は、美しい木造仕立て。同時にあらゆる場所に漂う、イケてる海賊っぽい感。
きっと映画をご覧になられた方だと、こ、これは!!的な驚きがあるのだろう。ただ1しか見てない私は、綺麗だなぁ位の感想である。
そして待ち時間が、なぜがやたら短い。最初に乗った時も僅か15分という、ちょっとした定食くらいのお時間だった。
この日が偶然すいていた可能性も高いが、閉園30分前に駆け込んだ時は待ち時間なし。どうしてももう一回乗りたい!と、満場一致で突撃した時のお話だ。
そして乗った感想は、どえらいすごい。ネタバレ回避のため稚拙な表現で申し訳ないが、もう仰天しっぱなし。
嗅覚・視覚・聴覚・触覚。全感覚が海底に引きずり込まれるような、驚異の臨場感。
自分死んだぁ!と思わず叫びそうな、圧倒的な映像美。次に何が来るのか理解している三回目でも、ぎ、ぎゃああ!!と後ずさりする衝撃のアトラクションだ。
日本のディズニーとは違うね!ともちこはいうが、ぶっちゃけそれを存じ上げない。ただディズニーベテランの彼女ですら、どうやら大変お気に召したようだ。
そしてお次は、キャンプディスカバリー。
これはみんなでやんちゃしようぜ!という雰囲気の、野外アトラクション。乗って移動するのではなく、己の体を駆使するサスケ的な逸品だ。
そしてこれが、どえらい並ぶ。めちゃくちゃな人気らしく、結局お菓子を食べ尽くしながら、150分並ぶことになる。
150分。
この時間は、果たして長いのだろうか。そういえば、ディズニーの平均並び時間を良く存じ上げない。
これはきっと、ディズニーマニアの方には序の口だわ!と、仰られる時間なんだ。同時にもちこにも、普通じゃん?と言われた時間でもある。
ただ初ランド人として、一言だけ言わせていただきたい。待ってる時間も楽しいね、と。
そしてこちらのアトラクションは、荷物を預けてスマホもカメラも全部禁止。実際はこちらのロッカーの待ち時間が異常に長く、ここだけで60分ほど待つことに。
ただ体にロープを装着してピョンピョン飛ぶアトラクションのため、スマホを落とす確率は激高だ。スタッフにも厳重にチェックされるため、素直にスマホ無しで並ぶことになる。
そして感想は、めっつあ面白い。
夏休みに田舎のばあちゃん家に遊びに行った、あの野性的な日々。木々を飛び移りアケビを食べた、あの想い出の時間。
これはいわば、そのデラックス版。明日の筋肉痛が確定する、肉体をフル活躍させる本能的な快感だ。
ただ結構な高所があるため、高所恐怖症の方には少しキツイ。実際目の前のインドの方も、上空4mでフリーズされていた。
そんなアトラクションを厳選して訪問すること、約5時間。快晴の空が、次第に色を変え始める。
同時に人々が同じ方向に走り出し、一気に人の流れが生まれだす。急げ急げ!といった雰囲気で、ミッキー耳の大移動が始まるのだ。
なんだなんだ?プーさんでも出たのかな?
( ゚Д゚)!
こ、このお姿は…!!
来るぞ来るぞ…。
カメラカメラ…。
ギャー(*´Д`)!!
エレキトルカル…エレキトリカリ…。あのパレードだっ!!
初めて目撃する、喜び渦巻く有名キャラ達の行進。思わず舌を噛みそうになる、あの有名なパレートだ!
歩くだけで怒号に近い歓声が上がる、大熱狂の行進劇。そういえば絶対見るから!と、もちこに念押しされていた。
確かに最初は、キャラが歩くだけなんだ…と思っていた。しかし彼らの愛情溢れる表現力の前では、心が一気に揺さぶられる。
す、凄まじいハッピー感…。なぜ歩くだけで、これほど歓喜に包まれるのか…。
もうこんな感じ。
私も大人も子供もご年配も、両目に歓喜を焼き付ける。呆然と立ち尽くし、ミッキーこっち見てぇえ!と、日本語でアピールする。
途中で中国風のキャラも多数登場し、さすがは上海ディズニーである。日本のパレードを知らないため比較が難しいが、きっとこれは凄いんだ。
巨大な太鼓に荘厳な龍、中国らしさ全開の装飾品。世界中のディズニーで、きっと全部デザインが違うのかな?
チラリと顔出すだけで、歓声がどよめく主役の根津さん。全く面識はなかったが、これは確かに惚れてしまう。
後ろからは白雪姫の側近だろう小人達もずらり、ただ小人と言っても余裕でもちこ以上の長身である。
でかい。そして、動きがチャーミングすぎる。
きっと楽屋では、日夜可愛らしいポーズが研究されているんだ。ここでちょっと右足上げたら?とか。
その研究、ズバリ効果抜群ですよ。その激カワポーズ、幼稚園でやるとパニックですよ。
そしてパレードの熱狂が終わると、周囲は段々白み始める。シンデレラ城にも鮮やかなライトアップが施され、どうやら夕刻の楽園になるみたい。
ただもちこ曰く、どうやらシンデレラ城とはちょっと違うらしい。エンチャンテッド・ストーリーブック・キャッスルという名前らしく、全長60mと世界最大のディズニー城だ。
確かにこれが、無茶苦茶でかい。近くにいくと、自分がシルバニアファミリーになった気分になる。
そして城の雰囲気もジワリと変わり、同時に本日の終わりを肌で感じる。合わせて私達の偽バックパッカーも、お開きの時間だ。
楽しかった時間も、閉園と共にザッツオール。閉店ガラガラ、おしまいに。
そんな残り時間を名残惜しむように、最後の最後まで走り回る。きっと簡単に再訪できない、上海ディズニーランドに覚えてもらうように。
急げ急げ…。
ポップコーンポップコーン…。
シャボン玉シャボン玉…。
ぷぷぷぷぷ…。(吹いてる)
並べ並べ…。
行くんだ…無限の彼方に…。
ターザンターザン…。
原作見たことないけど…。
ま、まずいっ!
お店が閉まり始めてるっ!
というか、閉まるの早すぎるでしょ!
まだチュロス食べてないよ!
鮮やかなオレンジ色の夕刻を迎え、さらに暗闇とバトンタッチ。可能な限り走り回ったディズニーも、そろそろ本当に終わりの時間だ。
人々もアトラクションに並ばず、夜景をひたすら写真に収めている。確かにこの広さ、夜景を撮り尽くすだけで一日かかりそうだ。
そして閉園間際で混雑し始める、お土産店。皆がミッキーを小脇に抱え、自宅に迎える気満々である。
じゃあ私達も、自宅に迎えるお気に入りミッキーを探そうかな。本当はプーさんが良かったけど、相棒的なキャラとセットにしたいんだ。
ハロウィン仕様のミッキー&ミニーと、感謝永遠に小銭入れ。名前は忘れてしまったが、三つ目のこの子が最高に愛らしい。
そしてお値段は、もちろん超観光地プライス。ただ中国元を使う機会も、これから殆ど残っていない。
ここは帰りの地下鉄代だけ残して、全部散財してしまおう。残しておいても、勿体ないだけだからね。
そう思いながら互いにお土産を探し、友人数とクッキーの個数を一致させる。お土産散策って楽しいけど、THE・ENDって感じが半端ないね。
ラストに輝く最高のショー
そして上海ディズニーランドのお店は、本当に閉まるのが早い。日本ならまだまだこれからぁ!といった時間でも、ビシバシお店がクローズしていく。
お土産以外のお店も終わってしまったし、晩御飯をガッツリ食べる場所も意外に少ない。これは上海に戻るまで、腹ペコ確定になりそうだ。
これから地下鉄に乗って、お土産を眺めながら帰るんだ。そして明日はチェックアウトして、飛行機で成田に向かうのか…。
(._.)
寂しい。とことん寂しい。
旅の中盤から終わりは覚悟していたが、この寂しさは過去最大。漫画の様に好きな子が転校してしまった、小学校以来の無力感だ。
終わったのう。そうだのう。
そんな話をもちことしながら、出口に向かう。もう乗れるアトラクションもなく、トボトボ帰るだけなんだ。
と、その瞬間。
突如園内に、アナウンスが鳴り響く。それは迷子の呼び出しのような、暗いトーンではない。
ただ中国語が分からず、英語のアナウンスを待ちわびる。すると先に中国語で理解したもちこが、( ゚Д゚)!!と顔を輝かせる。
プロジェクションマッピングだって(*‘∀‘)!!
( ゚Д゚)?
プロジェクションマッピング…。
聞いたことあるけど、それなんだっけ?
名前と実物が繋がらず、一生懸命思い出そうとする。するともちこにあとで思い出せ!と言われ、猛烈に引っ張られる。
どうやら園内中央で、どでかいSHOWが始まるらしい。しかもあの世界最大60mの、エンチャンテッド・ストーリーブック・キャッスルで。
エンチャンテッド・ストーリーブック・キャッスルで、プロジェクションマッピングだよ!
横文字が長すぎて、全然イメージできない。分かるのは上海ディズニーランドが、まだ終わってないということだけ。
急げ急げ!見る場所無くなっちゃうよ!
そう急かされながら、アナウンスにあった開催場所に走って向かう。するとそこには、想像通りの光景が広がっていた。
ガンごみだ…。
足の踏み場もないとは、まさにこのこと。広場に飛び出すミッキー耳に、プカプカ浮かぶ風船だらけ。
やばい、全然座れない…。後続の私たちは、明らかに出遅れてたようだ。
しかし偶然出来た隙間を確保し、なんとか中腰で待機する。すると隣の方が横に詰めてくれ、シェイシェイ!とお礼を告げる。
どうやら皆様は予め知っていたらしく、園内ほぼ全員が集結している。あぁだから、先ほどのパイレーツオブカリビアンはガラガラだったんだ。
すると突如、前方から怒鳴り声が鳴り響く。本日二回目の緊張に、慌てて声の方を振り返る。
そこのお前、座れよ( ゚Д゚)!!
どうやら一人の男性がスタッフの制止を振り払い、広場に入ってきたようだ。そしてその男性が仁王立ちし、後ろの人がお城を全く見えなくなってしまった。
確かにこれは、どうみてもかなり邪魔。座って見ましょう!のスタッフアナウンスも、ガン無視である。
しかも1時間以上前から待つ人々の場所に、無理やり体をねじ込むパワープレイ。これは人としてのモラルではなく、ルールの無視である。
ただ怒鳴られても、その男性は全く動じない。それどころか俺だって見たいんだ!と、めちゃめちゃ素直な気持ちを怒鳴り返す。
すると周囲の人々が一致団結し、猛烈なまでに抗議する。日本では考えられないほど、奥さんもおじさんも、老人も若者も。
結局男性は雰囲気に押し負け、どこかに行ってしまう。同時に周囲から歓声が上がり、やりましたなぁ!的な空気が流れる。
あぁ最後の最後まで、この国の人々は素直で快活だ。ダメなものはダメ、嫌なものは嫌、ハッキリ言葉にできる方々なんだ。
それは衝突を避けたがる、典型的な日本人の私に足りないもの。最後までご指導ご鞭撻、ありがとうございました!
同時に始まる、プロジェクションマッピング。城が次第に彩りを変え、大きなモニターへと変化する。
さらに荘厳なディズニーサウンドが、体育館の様にこだまする。真っ暗なボールの中にいるみたいだ。
想像の及ばぬ順番で繰り出される、光の芸術。その光景は、この国の芸術センスを再度確認させてくれた。
ただ息を飲む、20分。この旅と同じ様に、あっという間の至福の時間。
ありがとう中国。
本当に楽しい2週間だった。沢山の優しさと感情に触れ、今までにない経験が出来た。
また必ず訪れたい。月並みだけど、純粋にそんな気分。
じゃあ感動が冷めないうちに、ホテルに帰ろう。この偽バックパッカーも、これにて終わりだね。
ドラキュラに変身したミッキーに挨拶をして、同時に中国と別れを告げる。本当に楽しい時間を有難う。
ちなみにその八重歯、最高に可愛いね。ハロウィンっぽくで、めちゃ良いと思うよ。
じゃあ私たちも、帰って美味しい晩御飯を食べよう。よく考えれば、まだ10時間くらい中国を満喫できるじゃないか。
そう思いながら、山盛りのお土産を背中に背負う。結構な重量で、帰りの飛行機も大変そうだ。
そしてふと、出口でもちこに尋ねてみる。バックパッカー楽しかったねぇ?と。
すると彼女は、不思議そうに聞き返す。これ、ただの旅行でしょ?と。
~おわり~
ここまでお読みいただき、心から感謝申し上げます。
幼少期に深い感銘を受けた、沢木耕太郎先生の深夜特急。あの名作に強く憧れ、どうしても長編の旅行記を書きたい!そんな気持ちで書かせていただきました。
沢山の方々のご感想や、DMでのコメント、本当に有難う御座いました。皆様のお言葉のおかげで、最後まで書き続けることができました。
この旅行記が、少しでも皆様にお楽しみいただけますように。
ねこやま しゅん(*‘∀‘)
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