ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中学受験ブログ⑯ 思考スイッチが入っても、最後まで粘り切れるとは限らない

思考スイッチが入っても、問題を解き切れるとは限らない

 

能力を超える問題に直面した時。

 

人は諦めるべきだろうか。

もしくはその問題を、何とか克服しようとするだろうか。

 

物事の粘りに通じる、思考の粘着性。

見慣れた問題から、新たな問題の解決の糸口を探る。

 

その思考方法が不器用でも構わない。

できるだけ幼少期に積み重ねておきたい、物事の思考経験

 

これは一人の中学受験生と体験した、2年間の受験記録。

お時間のある際にでも、お読みいただければ幸いだ。

 

~ 過去のバックナンバー ~

 

 

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講師と生徒の思考継続時間の違い

講師と生徒の思考継続時間の違い

 

完全に思考モードに入った。

 

いつもと違う雰囲気で、白紙に図を書き続けるコウスケ。

文章を音読し、それは何かクイズを解いているイメージだった。

 

確かに算数の問題の多くは、根気があれば解答できる。

高校数学などと違い、そのパターンにも限界があるからだ。

 

そのため、図で一つ一つのパターンを洗い出していく。

そして出来るだけ思考しやすくし、自分の使える計算式を適用させればよい。

 

簡単に言えば、かみ砕けばいい

かみ砕けば解けると自覚すれば、必ずゴールは見えてくるだろう。

 

 

旅人算に関しても、まず登場人物全員を考えない。

あくまで計算は、兄と弟だけで行えば良い。

 

一気に三人分の計算をしようとするから、頭が混乱する。

このクラス分けテストも、そんな生徒の心理を上手く突いている。

 

 

しかしこの発想を、もし仮に生徒に教えたとしても。

恐らく生徒は、講師と同じようには解き進められない。

 

まずそれには、3つの理由が存在する。

これらの全ての要素が、彼らの鉛筆を止めてしまうのだ。

 

  1. 理屈は分かっても、その計算の分解方法が分からない
  2. 図に書いて考えられる生徒と、そうでない生徒がいる
  3. 面倒くささに勝てず、最後まで解ききれない

 

この三つの要素は、思った以上に強敵である。

何故なら彼ら小学生の思考は、講師達ほど論理的に出来ていない。

 

こうすれば解ける!という知識があっても。

それが必ず使えるとは限らない。

 

その時の感情やめんどくささ、様々な要素が関係する。

知っていれば解ける』という講師理論は、時に机上の空論になり下がる。

 

 

そのためやはり、自発的に行動できる時を待つ必要がある。

自分で思考し、自分で問題を分解しようとするその瞬間を。

 

そして今、まさにコウスケはその瞬間にいる。

この思考を繰り返している時間こそ、最も成長する瞬間なのだ。

 

 

ようし、ここで一気に問題を解かせよう。

そして正解できなかった場合でも、コウスケを思いっきり褒め…。

 

「むり。」

 

 

……。

 

……( ゚Д゚)?

 

「先生無理。」

 

コウスケが、そう呟いた。

そして握りしめた鉛筆を、興味の無い父親の新聞のように放り投げた。

 

その間、わずか3分

それは彼が思考を開始し、私が喜んでいた時間である。

 

 

あっけにとられた私を眺め、コウスケは一人じゃんけんを始めた。

その冷めっぷりと言ったら、まるで人間チャッカマンである。

  

彼がミドリムシを白紙に書き、問題を一つ一つ思考していたこと。

そしてその先に、彼が問題を綺麗に解答すること。

 

これらはすべて、夢物語だったのだろうか。

もしかしてこれは、夢落ちなのだろうか。

 

 

先生無理って、どういうことだ。

もしや私が生理的に無理という、唐突なぶっこみなのだろうか。

 

その言葉の心理を理解するべく、私はコウスケに尋ねた。

何が無理なんだい、教えてくれるかな?」と、優しいお兄さん風に。

 

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思考能力と思考時間は別物

思考能力と思考時間は別物

 

「考えても解けないもん」

口をとがらせてそう言うコウスケは、結構マジな顔だった。

 

それは飽きたとか面倒くさいといった類の物ではない。

ただ単に「克服できなかった」といった表情だった。

 

始まったと思ったら、すぐに終わった思考。

これはまだ、思考能力が成長していないからなのか。

 

そもそもこの思考の粘りは、生来の特徴なのだろうか。

そしてこの部分は、決して鍛えられない部分なのだろうか。

 

 

他の中学受験生を担当する先生が、良く同じ悩みを聞かせてくれる。

私の生徒は、すぐに問題を放り出す」と。

 

その言葉を聞いた時、私はいつも考える。

それはただ単に、その生徒に思考能力がついていないからではないかと。

 

しかし今、コウスケは思考自体は行った。

にも関わらず、その継続時間は圧倒的に短かった。

 

つまり、受験問題を回答するには二つの要素が必要となる。

 

それは、そもそも思考しようとすること。

そして同時に、思考を粘ることである。

 

二つの重要な思考要素

 

私はこれまで、思考できることを一つの塊だと考えていた。

そして一度思考できれば、これからの大きな力になるだと確信していた。

 

そのために、同じ問題を何度となく繰り返し解かせる。

それこそ事務の鳥井さんに目をつけられるほど、教材を繰り返しコピーして。

 

それにより、見た瞬間に反応できそうな問題をたくさん作り上げる。

この問題ならいける!と、脳が反応できるように。

 

解けそうだと感じられたなら、そこから思考が開始される。

そしてその段階まで来れば、全ての問題に思考できると考えていた。

 

 

だが違った。

 

私とコウスケは、問題に取り組んでみようかな?レベルに過ぎなかった。

そこから問題を読み取り、最終的に解答できる段階には来ていなかったのだ。

 

今までの演習は、思考のスイッチを入れるだけ。

そしてここから、思考を粘らせる演習を重ねなければらない。

 

 

しかし、よく考えれば当然である。

数多の講師と受験生が悩む問題を、こんなに早くに解決できるわけがない。

 

誰もが喉から手が出るほど欲しい、正しい思考手順

その養成は、受験前日までお付き合いする問題だろう。

 

 

しかしこのクラス分けテストのバックナンバーを通じて。

私は何個か、有難い発見ができた。

 

それは、コウスケが図に書いて思考できるタイプだということ。

そして今までの演習が、少なからず思考に良い影響を与えていること。

 

そして最後に、コウスケがやっぱり諦めやすいこと。

こればかりは、今後もお付き合いする課題なのだろう。

 

~ 次回17回に続く ~