ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中学受験ブログ⑦ 最も有難い、授業の進め方に関するご家族様の理解と支援

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考えているか、考えていないか。

 

そんな子供の思考状態を、講師が判断する。

そして同時に、その思考状態を適切な思考回路に戻してあげる。

 

コウスケの中学入試まで、あと二年

残された時間を有効活用するためにも、この作業は欠かせない。

 

繰り返し繰り返し、同じことを繰り返させる。

何をするべきか、やっと理解できた時期のお話だ。

 

このお話は、前回からの続きである。

お時間のある際にでも、お読みいただければ幸いだ。

 

~ 過去のバックナンバー ~



 

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合格ラインを超える学習スケジュール

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小テストが終わり、やるべきことが見えてきた。

私はコウスケに、小学2年生の問題を与えることにした。

 

もちろんこれは、直接得点をあげるものではない。

あくまでもこれから入試までの、下地作りに過ぎないのだ。

 

 

小学二年生の問題を与え、問題の意図を掴ませる。

そしてその意図に沿って、自分の知識を当てはめる。

 

一言で言えば、そういうこと。

しかしコウスケにとっては、どういうこと?な世界である。

 

 

彼は今、解くという段階ではない。

知識を当てはめているだけの、いわばジグソーパズル状態。

 

これから先、難関の入試問題を解いていくには。

自分の知識を問題意図に合わせて、可変的に適応させる必要がある。

 

そうすれば思考能力を必要とする入試問題は、必ず解ける。

御三家のような、発想における才能を必要とする入試問題でなければ。

 

 

確かにコウスケの志望校は、偏差値は高い。

しかしその入試問題は、比較的軽度の論理的思考力で回答できる。

 

多くの問題が、圧倒的な知識量で圧殺できる。

しかしそれだけではなお、合格ラインには到達しない。

 

 

つまりコウスケが合格するには。

思考して回答するという前提が、どうしても必要になってくる。

 

あと二年の間に、その能力を身につけなければならない。

そしてその思考力を元に、圧倒的な知識量を習得する必要があるのだ。

 

 

そのために、小学2年生の問題から扱う。

その目的は、より低い思考のハードルから克服させるためである。

 

そして、考える癖をつける。

じわりじわりと、彼自身の思考力のギアを上げていくのだ。

 

 

しかし、一つ問題がある。

この授業スタイルを、ご両親は理解してくれるだろうか。

 

中学入試を目的に入塾してきているのだ。

なぜ小学校2年生の問題を扱うのか?と、きっと異論を投げるだろう。

 

これもまた、克服しなければならない問題点である。

どうやらコウスケの合格には、様々な障害が潜んでいるようだ。

 

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母からの家庭通信と、思わぬ味方

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そうしているうちに、コウスケの授業がまた始まった。

一週間というのは、何と短いのだろう。

 

 

これはまずい。

なぜなら私は忙しさに忙殺され、ご両親への相談が出来ていなかったのだ。

 

何も相談なしで、小学2年生の問題を扱うのか?

それこそ意識統合も出来ず、大きな問題になりかねない。

 

個別授業において、ご家族様のサポートは必要不可欠。

もっとも勉強時間の多い、ご家庭の理解は欠かせないのだ。

 

 

私はひどく反省した。

 

なぜこんなにも、問題点を先送りにしてしまうのだ。

それで以前は、ワールドカップのチケットを予約し忘れたではないか。

 

ばかばか。

私のばか。

 

このまま小学2年生の問題を扱うのは、非常に危険。

しかしだからといって、小学5年生の問題を解いても意味がない。

 

この90分を、私はどぶに捨てたも同然だ。

何なら、コウスケと古今東西三国志の武将名でもやるべきだろうか。

 

いやコウスケは恐らく、三国志の武将名など一人も分からないだろう。

無防備なハムスターを、ライオンが全力で追い立てるようなものだ。

 

 

とりあえず授業に向かい、私はコウスケを待った。

コウスケは安定の30分遅刻をし、残りは60分だった。

 

軽く注意を促し、授業を開始した。

しかし頭の中では、何をするべきか完全に迷っていたのだ。

 

 

私が悩んでいると、コウスケが一冊の本を差し出した。

それは家庭通信と言われる、ご家庭との文通役目を果たすノートだった。

 

前回の授業はどうだったか。

ご家庭での勉強は、指導された通りに出来ていたか。

 

そんなご家庭での様子を確認する、家庭通信

私の塾では授業の最初に、その家庭通信を書きこむ決まりなのだ。

 

 

そしてこの、ご家族様にも書いていただく家庭通信。

ご家庭によって、その濃度に圧倒的な差が存在するのだ。

 

 

ご指導宜しくお願いします、と丁寧な字で書かれたもの。

部活が忙しくて宿題が終わっていないようです、と情報をくれるもの。

 

何も書かれていない、講師と家庭の温度差を感じるもの。

なかには般若心経の様に、びっしりと埋め尽くされているものもある。

 

 

そのため最初の家庭通信を見る時、非常に緊張する。

塾に対するご家庭のスタンスが、面白いように現れるからだ。

 

クレーマー気質なのか。

モンスターペアレンツなのか。

 

自由気ままに自分の意見を書き込める、家庭通信。

細かな授業内容まで指示する、監視系ママの場合も少なくないのだ。

 

 

私は恐る恐る、コウスケが差し出す家庭通信を開いた。

そこには薄目にしても分かるほど、びっしりと書き込まれていた。

 

これは間違いなく、監視系ママである。

読む前から分かる文字の圧力に、そう直感した。

 

 

しかし読み進めてみると、私はびっくりした。

そこには丁寧な文字で、この様なことが書かれていた。

 

家庭通信に書かれていた内容
  • コウスケはやればできる子だとは思う。しかしその方法が分からないだけ。
  • 先生が小テストでやったことを、継続していただきたい。これからの指導方針は、全て先生に任せる。
  • 家庭では、出された宿題は死んでもやらせる。だからたっぷりと出して欲しい
  • コウスケはどうやら、ねこやま先生が嫌いではないようだ 

 

泣くほど嬉しかった。

あのヒステリック知性の高いお母さまが、ここまで理解してくれるとは。

 

これで私は、ご家族の全面的な協力を手に入れられた。

そして同時に、コウスケに同じことを繰り返させる許しを得たのだ。

 

 

さぁ、残る障害はただ一つ

 

私がどれだけコウスケと共に歩み。

そして彼に、考える力を養ってあげられるかだ。

 

 

家庭通信を見ながらにやける私。

そんな私に、コウスケはもう一つ紙を差し出した。

 

それは先週私が彼に命じた課題。

白紙の小学2年生問題集だった。

 

~その⑧に続く~