ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中学受験ブログ⑬ 夏合宿のクラス分けテスト対策とベテラン先生との再面談

子供に勉強を教える時、同じことを繰り返させる方法っていいよね

 

段々と、思考の手順を育てていく。

 

自転車に乗れなかった子が、段々と乗れるようになるように。

小さな成功を足掛かりに、何度も繰り返せるように。

 

 

夏期合宿のクラス分けテストまで、あと少し。

初めての実力試験で、初めて自分の力を試す時。

 

圧倒的な学力レベルを、短期間で克服する。

そしてそのために越えるべき、一つの壁がある。

 

これはそんな分かりにくい目標に向かった、受験のお話。

お時間のある際にでも、お読みいただければ幸いだ。

 

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考えるほどに見えてくる、下クラスの問題点

考えるほどに見えてくる、下クラスの問題

 

夏合宿のクラス分けテストまで、あと一か月半

 

このテストに失敗すれば、コウスケの合宿は全て無駄になる。

能力だけでなく意識を高められる、最高の機会を失ってしまう。

 

しかも下のクラスは、思いのほか悪評だった。

全国から超問題児と呼ばれる生徒が集まる、サバイバル環境らしい。

 

それを教えてくれたのは、昨年もお世話になた合宿運営者。

新人の私にも気さくに話しかけてくれる、何ともイケてるヒゲ親父だ。

 

 

「ねこやまちゃん、下のクラスはやばいよ?」

ひげ親父は幕の内弁当を食べながら、そう教えてくれた。

 

そんなにやばいんですか?という、私の問いかけに。

そんなにやばいよ、そう答えてくれた。

 

しかも下のクラスは、完全に別館らしい。

アルカトラズの様な、遠く離れた海沿いの民宿を貸し切るようだ。

 

大学受験生を担当する、私の合宿からは約5キロ。

気軽に歩いて様子を見に行ける、そんな環境ではなかった。

 

 

しかも問題は、それだけにとどまらなかった。

新しい問題点は、その合宿場の食事である。

 

そのアルカトラズ民宿は、海沿いであるため海鮮系が食事のメイン。

しかしコウスケは、海鮮系は一切NG

 

刺身・焼き魚・お寿司・煮つけなど、海鮮系は一切ダメ

山の幸も選べる私のホテルと違い、食事内容は大幅に制限されてしまう。

 

そして周りは、全国の悪ガキどもである。

コウスケが海鮮を食べられないと知ったら、あざけりの対象になりかねない。

 

先生ぇ!コウスケ君お魚残してまぁす~♪と。

マジ食べ物に感謝足りなさすぎぃ~♪と。

 

 

そんな言葉を受ければ、コウスケは傷つくに違いない。

合宿に高い費用を出し、バカにされる必要など一つもないのだ。

 

そもそもコウスケの魚嫌いは、味やアレルギーではない。

ただ単に、家でグッピーを飼育しているからなのだ。

 

自分の可愛がる魚と、同じ種類のものは食べられない。

彼の海鮮嫌いは、きっとその優しさに由来するのだ。

 

 

これはまずい。

コウスケを下のクラスにできない理由が、バンバン山積する。

 

できれば下のクラスにしたくない、ではない。

絶対に下のクラスに出来ない、そんな段階まで来てしまった。

 

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演習方法の見直しと、机上の悩み

演習方法の見直しと、机上の悩みn

 

私はすぐに、岸本先生とお話をした。

 

クラス分けテストのこと、残り時間が少ないこと。

私とコウスケの置かれている状態を伝え、ご助言をいただこうと考えた。

 

 

すると珍しく、岸本先生も悩んでいた。

詳しくお話をすると、その悩みには以下の要点が存在した。

 

岸本先生のお話の要点
  • クラス分けテストまでの一か月半を、テスト対策だけに費やすのか
  • そしてその時間は、受験全体で無駄にならないのか
  • 一か月半のテスト対策により、知識以外に何を得られるのか
  • 付け焼刃的な学習になり、コウスケにその感覚が付いてしまわないか
  • 全てテスト対策に費やすことに、ご家族のご理解・サポートは得られるのか

 

 一つ一つ確認すると、全て大きな問題だった。

 そこには夏合宿のメリットだけでは割に合わない、深刻な問題も含まれていた。

 

この一か月半を、テスト対策だけに費やすならば。

もしかすれば、コウスケは上のクラスに行けるかもしれない。

 

しかしその費用対効果は、受験全体を見た時に優れたものなのか。

そしてその期間の経験は、彼の今の学習スタイルを崩さないのか。

 

 

コウスケは今、やっと自分の学習スタイルを築きつつある。

同じ問題を繰り返し、自分の知識を適合させる演習方法に。

 

それは彼の使用する問題集が、わずかに難しいから可能なのだ。

問題レベルが大幅に乖離しておらず、手が届くレベルだから効果があるのだ。

 

 

しかしもし、クラス分けテスト対策を講じるなら。

その問題レベルは、コウスケのそれを大きく上回る。

 

まだ見ぬ受験用の問題を扱い、もう一度コウスケを初期化してしまう。

その時コウスケは、今までのことをどう感じるだろうか。

 

 

ここまでやってきたのに、一つも解けない。

僕が受験をするなんて、無理な話なのかもしれない。

 

そんな気持ちを、コウスケに与えたくない。

私は岸本先生に、そう弱音を吐いてしまった。

 

 

すると先生は、また優しい口調で教えてくれた。

しかしその口調とは裏腹に、内容はズシッと重みを持っていた。

 

 

コウスケ君は、そんなに弱い生徒ではありませんよ。

やってみて出来なければ、又戻せばいいのです。

 

どうにかする、というのも塾講師の役割ですよね。

始める前から自己弁護する先生を、どう思うでしょうね?

 

 

私はまたも、背筋をびしっと伸ばされた。

仰る通り、何もまだ始めてすらいない机上の悩みだったのだ。

 

岸本先生が、私のような体験をしていないはずがない。

彼もまた、何とかしてきた類の先生なのだ。

 

 

私はもう一度、今の悩みを整理した。

そして必ず存在するはずの、全悩みを解決する方法を考えた。

 

与える問題のレベルを、バランスよく配分し。

コウスケが凹まないように、時折自信を取り戻す問題を挿入する。

 

そんな少しの手間だけで解決する問題を、私は無理だと決めつけていた。

少し悩んで、少し工夫をすれば解決する問題を。

 

 

その日以降、私の授業準備は大幅に改善した。

するとそれを見ていた塾長は、こっそり時給を100円UPしてくれた。

 

~ 次回14回に続く ~