ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中学受験ブログ⑭ 合格ラインを得点するための問題分析と、密かに育った生徒の思考力

同じことを繰り返させる方法っていいよね

 

同じことを、繰り返せる力。

 

それは誰にでもあるようで、限られた人のみ持っている。

黙々と同じ内容を繰り返せる、それは大変な財産である。

 

少しづつ変化する内容に、自分の思考を適用させる。

その力は、幼少期に鍛えることが効果的だと考える。

 

与えられたものを吸収する、そんな幼少期。

受け身だからこそ可能な、スポンジのような成長期。

 

 

夏合宿のクラス分けテストまで、あと50日

見たこともない問題の対策を、共に進めて行かなければならない。

 

これは一人の受験生と体験した、受験のお話。

お時間のある際にでも、お読みいただければ幸いだ。

 

~ 過去のバックナンバー ~

 

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クラス分けテストで得点すべき問題分析

クラス分けテストで得点すべき問題の分析

 

岸本先生と決定した、コウスケのこれからの進め方。

これから50日間、私たちはクラス分けテスト対策だけに没頭する。

 

今まで進めてきた問題演習は、一時中断。

これから先は、クラス分けテストの点だけを追い求めていく。

 

もちろん、問題レベルもグッと上昇する。

クラス分けテストは小4から始めたコウスケの学力レベルを、楽に超える。

 

その難しさは、まさに受験レベル

合宿に参加する受験生を、明確に分類する構成となっている。

 

学力の低い生徒が、思いがけない高得点を偶然取れないように。

なおかつ下のレベルの子供たちを、クラス別に分類できるように。

 

そのためクラス分けテストには『簡単な問題』と『難しい問題』が存在する。

そして核問題が『どの下位クラスにいくか』『どの上位クラスに行くか』という役割を担っている。

 

つまり、クラス分けテストの問題ごとに得点が異なる。

それと同時に、各得点の持つ意味合いも違ってくるのだ。

 

優しい問題の得点は『どの下位クラスにいくか』を決めるもの。

難しい問題で点数しなければ、『どの上位クラスに行くか』には影響しないのだ。

 

 

そして今回の夏合宿は、今までと毛並が違う。

私がコウスケに行かせたいクラスは、中位クラスに位置付けられている。

 

これは今までになかった、新しいクラス。

下位でも上位でもない、真ん中のクラスである。

 

そしてこの、中位クラスに入るためにはどうすれば良いか。

これは少し推察が必要だった。

 

恐らく中位クラスに行くには、上位クラス用の問題を何問か正解しなければならない。

そして同時に、下位クラス用の問題を80%は正解しなければならないだろう。

 

 

つまり。

 

簡単な問題は、全部取る。

難しい問題は、根性で一問正解する。

 

これでコウスケは、中位クラスに入ることができるだろう。

目の前でひたすら漢字の書き取りをしている、この少年の使命である。

 

 

そう考えてみると。

私がこれからコウスケに解かせる問題は、大きく二分される。

 

簡単な問題を確実に取るための、問題演習。

難しい問題を根性で取るための、実践演習。

 

この二つを両立しながら、今までと同じように進めていく。

つまり、同じことを繰り返すのだ。

 

一度悩んだ問題を、もう10回繰り返す。

少しでも分かりそうになった問題を、もう20回繰り返す。

 

この繰り返しを守りながらで、徹底して繰り返す。

いつもと同じように、最低限の助言を添えながら。

 

 

良し。

 

私が今、何をやらなければならないのか。

整理することで、はっきりと見えてきた。

 

それは、新しい教材を二冊発注すること。

そして教材発注頻度を監視する、事務の鳥井さんの怒りを鎮めることだ。

 

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見慣れぬ問題に、にじり寄るコウスケ

見慣れぬ問題に、にじり寄るコウスケ

 

新しい教材は、思いがけずその場で私に渡された。

どうやら以前の誤発注分が、倉庫に眠っていたようだ。

 

どや顔で教材を手渡す鳥井さんに、私はお礼を言った。

全教材の在庫、把握されてるんですね!』と、おべんちゃらも添えて。

 

 

そして同時に、私はコピー機に向かった。

それは、クラス分けテストのバックナンバーをコピーするためだった。

 

夏の合宿本部が用意する、合宿クラス分けテスト。

その作成は、毎年同じ先生が担当する。

 

そのためその問題傾向には、一定の特徴が存在する。

作成する人のクセや担当受験校が、思いっきり反映されるのだ。

 

つまりクラス分けテストの最良の対策は、過去問

過去6年分を空で言えるまでに仕上げれば、恐らく対抗できる。

 

そしてその情報を教えてくれたのも、 心の恩師である岸本先生

 誰よりも私達を気遣ってくれる、心のお師さんである。

 

 

私はその過去問を、そそくさと20部ずつコピーした。

鳥井さんがお昼休憩に向かった、一瞬のスキを突いて。

 

そしてダッシュで、コウスケの待つ教室に舞い戻る。

するとコウスケは一人ジャンケンという、謎の遊びに興じていた。

 

 

授業終了まで、あと20分

私はとりあえず、コウスケに過去問を解かせてみることにした。

 

とはいっても、残り時間はたったの20分。

恐らくこの時間は、コウスケの自信を奪うだけになるだろう。

 

しかしその敗北感は、いつか感じなければならない。

それならできるだけ早く感じさせ、そして立ち直らせなければならない。

 

考えても考えても、ちっとも分からない。

自分がやってきた努力は、もしかして無駄だったのか。

 

そんな気持ちになってもいい。

問題は、その気持ちからどうやって這い上がるかである。

 

ご自宅に戻り、お母さんに泣きついても良い。

そしてお母様から、お怒りの電話がかかってきても仕方がない。

 

そう思い、意を決して過去問を渡す。

目の前のテストと書かれた紙に、コウスケはギョッとしている。

 

 

出来なくてもいいから。

いやむしろ、出来たらすごいから。

 

私はふと、コウスケにそんな励ましをかけてみた。 

それが彼の気持ちを、少しでも楽にしてくれるならと。

 

 

すると、どうだだろう。

私は思いがけず、コウスケの本性を目の当たりにした。

 

テストを睨みつけるように、凝視するコウスケ。

激落ち君(消しゴム)が床に落ちても、一切気にしていない。

 

その異様な雰囲気は、一人ジャンケンをする彼とは大違いだった。

 

~ 次回15回に続く ~