中国旅行記10 観光地価格の陽朔と香り立つ絶品料理
夜の本気飲みに向け、節約ライフを満喫する。そんな時間を過ごしていると、夜はあっという間に訪れる。
そして手招きする、多数のレストラン。その選択を誤った時、悲しいご飯がテーブルに現れた。
心踊る陽朔の昼夜の顔
知らない間に降り始めた雨も弱まり、次第に周囲も暗くなってくる。観光客も増え始め、遂に陽朔の夜が始まるんだ。
ぽつぽつとオレンジ色の電灯も灯り始め、街も一面暖色に。こういうカラーリング、アジア独特の優しい美しさだなあ。
そして少し歩くと、中心地から少し外れた道路に抜ける。さらに脇に進むと、数時間前に下った桂林の景色が見えてくる。
どれ程のマイナスイオンが飛んでいるか分からない、ぶっちぎりの自然。切り立った山々が雲の中まで広がり、泥酔するまで飲んだ日の夢みたいだ。
夕方のせいか少し肌寒く、思わず腕まくりをするりと下す。こんなにも広大な河を、何時間も下っていたんだなぁ。
さらに川沿いには小さなボートと観光客、どうやらこれから川下りに出発するご様子だ。でもこのタイミングで出発して、一体いつ帰ってくるんだろ。
さらにそのボートは、ぶっちゃけ恐怖を感じるミニサイズ。ちょっと大きめの鯉とかにぶつかったら、もしかしたら転覆しちゃうんじゃ…。
大丈夫かな。でもあのコース、一体どのくらいのお値段なんだろ。
ちょっと興味は湧いてきたが、今は晩御飯が最優先。誘惑してくる物が多すぎて、嬉しい忙しさだな。
そんなことを話していると、ふとお手洗いに行きたくなる。この桂林の冷たい風で、胃腸もちょっとびっくりしちゃったのだろう。
早速もちこのリュックから、最も重要な物をゴソゴソ取り出す。それはこの旅に絶対必要な、無くてはならないブツである。
ポケットティッシュ。
この小さな生命線が無ければ、きっとこの旅は常に不安。それほど重要なのが、このポケットティッシュ。
なぜならこの国のお手洗いは、高確率でティッシュがない。慌てて突撃して個室に入っても、私を拭き取ってくれるものがないのである。
そのためトイレ前に必ず指差し確認をするのが、このティッシュ。充電器でもリップクリームでもなく、このお尻の相棒が絶対に欠かせない。
実際私も、このキイロイトリに幾度も助けられた。特に胃腸が不安な方は、常にダブルで常備されると良いだろう。
キトリ殿のサポートで快適に済ませ、再度街に歩いて戻る。するともう街全体が、綺麗なオレンジ色に変わろうとしている。
街に広がる、洋風な飲み屋通り。そこでは白人たちが楽しそうに、右手にビールのお祭り騒ぎだ。
ほうほう、ビールとな。そういえば確かにこの数日間、胃腸不良で禁止されていた。
夜の本格的な飲みの前に、ちょっとグビっちゃうのも悪くない。さらに洋風と来れば、もちこの好きな白ワインもきっとあるね。
ちなみにもちこは、大のお酒好きにもかかわらずビールが飲めない。その苦い飲み口が苦手で、いつもアジア圏の旅行では強制的な禁酒になる。
しかし西洋風の飲み屋なら、きっと白ワインもあるはず。久しぶりに二人で乾杯できる、何とも素晴らしいタイミングじゃない。
早速ちょっとだけ高級そうなお店を選び、店内に入店する。すると中国人女性が笑顔で出迎えてくれ、なんだか格が高そうだ。
さらに今までなら自由に席に着き、メニュー頂戴!と手を上げていた。しかしここでは、着席まで滞りなくナイスな手際でエスコートされてしまう。
おお、すごくVIPな気分だ。どうやらこれは、味にもかなり期待できるんじゃないかな。
そもそも表にあれだけ白人達が集っているのだから、不味いワケないよ。ピザを食べてた髭のお爺さんも、ボナペティ…(*´ω`*) みたいな顔してたし。
さらに一面壁に掲げられた、お洒落なポスター。高校時代の田中君の部屋みたいな、イケてるしょ?感がすごい。
早速店員さんにメニューを貰い、ドキドキしながら料金を見る。できればここで400元以内に抑えられれば、夜の飲み散財も盤石だ。
すると思った以上にぶっとんだ価格ではなく、まぁまぁの観光地プライス。この一週間倹約しつづけたのだから、これなら全く問題ない。
ピザも52元~68元(約1000円程度)と、クレイジーではない。これなら白ワインで美味しく乾杯し、素敵な一次会になりそうだ
そう考えてメニューをビシバシめくると、もちこがぼそりと呟く。とりあえず一品にしよ!と、何とも消極的な呟きだ。
え?なぜなぜ? まさかお金を気にしてる?
ちょっとお金の話をし過ぎたかな?、男性たるもの、金銭面で女性に不安を抱かせることはご法度である。
いやいや!気にせず頼みなよ!と、お金の話をし過ぎたことを謝罪する。同時にお財布の中身を見せ、まだまだ余裕がある証拠を提示する。
しかし逆に慌てたのが、もちこの方。
い、いや!そういう意味じゃないよ!と。隙あらば1000元くらい食べ尽くすよ!と。
あぁそれなら、モリモリ召し上がってくれ。でもなんで一品だけにしておくんだろ。
そう不思議に思っていると、もちこがその真意を呟く。険しいその顔は、噂好きの近所の奥さんだ。
中国のイタリアンって、結構ヤバイかもよ。美味しくなかったら悲しいから、まずは一品ずつにしておこうよ。
あぁなるほど、そういう意図だったのか。さりげなく中国をディスってる、新手の心配性だね。
どうやら過去に台湾で食べたイタリアンが、結構なお味だったとのこと。そしてそこもまた観光地で、それ以来警戒することにしていると。
それならまずは、一品づつにしておこうかな。そして美味しくて足りなくなったら、ビシバシ追加しようかな。
そう考えてとりあえず二品を注文する。それはずっと食べたかった、久しぶりの小麦系だ。
陽朔の危険なBLTと香港やきそば
BLTサンド。
メニューを開いた瞬間に即決した、こちらの一品。この中華三昧で久しぶりに出会う、フカフカパンだ。
肉厚な完成写真と印象は違えども、初対面の印象は悪くない。さらに冷凍庫から来ました!と挨拶ポテトも、想像通りのお味のはず。
さらにはもちこの頼んだ、香港焼きそば。
結局もちこは最後までイタリアンへの警戒心を捨てられず、中華で攻め込む。しかし不思議なほどソースの香りはなく、ちょっと大人しい味付けなのかも。
では二人揃って固形物を食べられる、久しぶりのお店ご飯だ。早速白ワインと共に、美味しく乾杯しよう。
カンパーイ(*‘∀‘)!
ハイテンションの中、まずはもちこの香港焼きそばから。大きく麺を掬い上げ、野菜と共に一口パクリである。
!?( ゚Д゚;)!?
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