中国旅行記12 想像を超える桂林七星公園鍾乳洞の未知の色彩
未知の色彩。
そう呼ぶにふさわしい、見知らぬ色の組み合わせ。強く記憶に残り、中国の感覚に震えてしまう。
そんな色彩に出会ったのは、七星公園鍾乳洞。初めて訪れたその場所は、息切れする場所だった。
象山景区から七星公園へ
アイスを食べながら、先ほどの象の山をチラ見する。やっぱり象のような気もするし、しない気もする。
するとそんな象山の凄さを教えてくれる、大きな石盤に遭遇する。どうやらこの象山、日本の若造の想像を超える、遥かにお偉い方らしい。
象鼻山。
先ほどの巨大な象、どうやら本当のお名前は象鼻山。確かにぴーん!と伸びた大きな鼻は、象山最大のチャームポイントだ。
そして注目すべきは、その石盤に書かれた謳い文句。国家AAAAA級とは、一体どのくらいの凄まじさなのか。
国家AAAAA…。あの日本でも大人気のAAAより、さらにAが二個も多いのか…。
もしかしてこの象山は、この国の最高峰の自然物なのかな?いや、この国の性格を考えると、国家AAAAAAAA級くらいありそうだな…。
でもなんだか、この象山がすんごい気がしてきた。帰国したら国家AAAAA級って見たことある?と、友人にどや顔で自慢しようかな。
そんな看板も一通り満喫したら、さぁ出発しよう。次の目的地は、象山景区から少し離れた七星公園だ。
まずその公園には、魅力的な鍾乳洞がある。口を揃えてヤバいと言われるその鍾乳洞、一体どんな場所なのだろう。
少し駆け足になりながら、象山景区を出て大通りでタクシーを取る。どうやら自転車で行ける距離ではなく、時間節約を兼ねての散財だ。
すぐに一台のタクシーが現れ、手を上げるとスッと停車してくれる。本日二度目の女性運転手で、気軽に話しかけやすそうだ。
七星公園って面白い?そこの鍾乳洞見たことある?
そんな質問を投げかけると、彼女はなぜか苦笑する。そして全然言いずらそうな様子もなく、運転手はサクッと教えてくれる。
ただの自然だよ。お金出すと勿体ないよ?
まぁ素直。めっちゃ言うじゃない。
まさか本日のお楽しみを、こんなに全否定されるとは思わなかった。ただの自然とは、なかなかしょんぼりする表現だね。
日本ならもっと、やんわり包んでくれるはず。包み紙、めっちゃ破損してる。
でもこの素直さも、この国の良さだね。このくらいダイレクトに伝えてくれたら、逆に心構えも万全だもの。
お手本のように凹むもちこを見て、思わず笑ってしまう。ただ確かに自然公園なのだから、ただの自然という表現も間違ってないよね。
象山景区から、タクシーに乗ること約5分。タクシー運転手曰く、ただの自然に到着する。
入り口では象山景区で購入したチケットを見せ、びりりと破って入場する。確かに観光客の数も少なく、本当にただの自然だけなのかと不安がよぎる。
しかし入園一発迎えてくれる、気合の入った花のオブジェ。漢字独特の美しさは、何度見てもグッとくるなぁ。
もし自然しかなくても、それはそれで良いかもしれない。これほど快晴なのだから、お散歩だけでも十分楽しいよね。
広大な自然に包まれた七星公園
入り口から伸びる一本道を歩くと、その広大さに唖然とする。行けども行けども道があり、もしや全てが遊歩道ではないかと錯覚する。
しかし歩けど歩けど、その広大な光景は一向に終わらない。最大の目的である、鍾乳洞も全然見当たらない。
(スタスタスタスタ…)(スタスタスタスタ…)
これ…どこまで続くんだろ…。
このまま出口に繋がってたら、絶対笑うな…。
少し不安に思い、ネットで調べながら進行する。するとまさかのパンダがいるとの歓喜の情報が飛び込んでくる。
え!?パ、パンダいるの!?この自然公園に!?
驚きながらも、その真偽をネットで確認する。こうやって全てスマホで調べてしまうのは、現代っ子の悪い癖だ。
しかし調べれば調べるほど、悲しい情報が溢れてくる。どうやらパンダは既におらず、ネットにはこの公園の低評価だけが飛び込んでくる。
『 昔ほど良くありません。パンダいません。前の方が良かったです。パンダいません。パンダいません。』
……。
みんなパンダ期待してたんだ…。パンダ不在、めっちゃ叩かれてる。
でもまさか、パンダがいないとは。私たちはいったい、この公園に何をしに来たのか。
先ほどまでその存在を知らなかったにも関わらず、パンダ不在の絶望感に包まれる。もうパンダがいない七星公園など、餡のないアンパンだ。(パンダとかけまして)
ただ自然は、あまりに綺麗。公園の中とは思えない、まるで原生林にいるようなすがすがしい感覚。
パンダ不在の凶報もさっぱり洗われ、散歩はどんどん楽しくなる。歩けば歩くほど、日本では見たことのない植物に遭遇する。
さらに道中では、中国らしい芸術達。それはなぜここに描くのか?と、思わず二度見してしまう芸術ばかり。
謎の人物。
なんでここに…。ただ単になんか人が描きたいという、作者の意図があったのかな…。
あらゆる木に描かれた人物像、その視線がすごく刺さる。万引き防止にも効果を発揮しそうな、目力の強いデザインだ。
これ、ちょっと怖いね。夜に見ると、子供泣いちゃうよ。
岸壁にそそり立つ七星岩
さらにしばらく歩くと、大きな壁画が現れる。そしてそこには、七星岩と書かれた看板と見事なオブジェが。
龍と卵。
自然が生み出した、奇跡とも呼べる造形物。龍の形の歪曲した木と、その中心に添えられた石の卵だ。
まるで本物の龍が我が子を包み込む、艶めかしい質感。これはすごい。
その精度は語彙力を奪い、思わず立ち止まる。さっきまでトイレを探していたにも関わらず、ガン見せざるを得ない。
これを最初に見つけた方、一体どんなリアクションだったんだろう。鳥肌3cmくらい立った気がする。
さらに七星岩の看板に沿って進むと、大きな石の階段も。またも階段か!と今日の階段運を呪い、一段ずつ噛みしめながら登っていく。
するとその側面には、なんとも不思議な写真が。まるで昭和ロマンのような、馴染みのない色合いだ。
眩しい。
広大な鍾乳洞を舞台にした、ディナーSHOWの光景。どうやらこの先に、待ち望んだ鍾乳洞があるようだ。
しかしなぜ鍾乳洞で食事会をしようと思ったのか。そしてなぜ、これほど多数の色彩で彩るのか。
あまりに煌びやかで、ぶっちゃけ目がチカチカする。これだときっと、白身魚のムニエルも極彩色になる。
なんだか興奮してきた。この七星公園鍾乳洞、想像を超えるデザインが待っている気がするのだ。
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