中国旅行記17 夜と表情を変える中国鳳凰の美味しい昼散策
夜も昼も最高。
そんなシンプルな感想が飛び出す、中国奥地の鳳凰。その昼の表情は、まるで煌びやかな夜への助走のよう。
夜の煌びやかさが注目される、中国鳳凰。ただゆっくり流れる昼の世界は、散策にも最適だった。
湖南省・鳳凰古城の昼の姿
モーニング臭豆腐。
体が欲する食べ物が、段々と中国人らしくなってきた。朝はパン!と叫んでいた私が、まさか朝から臭豆腐を注文するとは。
苗家臭豆腐(10元:約170円)と書かれた、鼻腔をくすぐるこちらの一品。その香りは煮込み&揚げ系の、かなり暴力的なタイプだ。
お子様が食べればギャン泣きするだろう、容赦なく香る腐〇臭。しかし食べ慣れた今、なんて愛おしい…と、頬ずりの一つでもしたくなる。
臭い…。
目まで辛くなる唐辛子ソースに、容赦なく放り込まれたザク切り大蒜。デートを明日に控えたメンズには、決してお勧めできないトッピングばかりだ。
しかし揚げ臭豆腐から溢れるエキスは、まるで絶品煮込み。猛烈な辛みとダシの軍勢のが、口に一気になだれ込んでくる。
その香りを名付けるなら、臭一揆。米返せ!米返せ!と、村人たちが襲い来る。
川独特の生臭さと交じり、もはや気分は川遊び。丸の内OL様にはお勧めしづらい、なんとも野性的な香りである。
しかし旨い。ただただ旨いのだ。
ブルーチーズのような癖のある旨味で、バクバク食べ進めてしまう。朝の少し冷えた体に、辛みと温かさが一気に押し寄せてくる。
これが約170円で食べられるのだから、なんとも羨ましい限りである。もし職場の近くにあれば、同僚女性の悪評と引き換えに毎日食べちゃいたい。
もちこもバクバク箸を進め、お互いが容赦ない香りに包まれる。ただお互いが好物であるため、その強烈な香りも全く気にならない。
もちろん残ったスープまで、全て飲み干す。朝から胃も強制的に目覚め、本日も元気に働いていただけそうだ。
お腹の準備体操も終わり、店主の方にお会計をお願いする。するとここでもまた来てね!と笑顔をもらい、人々の明るさにほっこりさせられる。
さらに散策を続けると、次から次へと興味が奪われる。まずその第一弾は、朝から人混みで賑わうご飯屋の店頭だった。
この人混みはなんじゃろ?
人々が群がる先には、何やら大きな中華鍋が。そして何やら香ばしい匂いと共に、お煎餅的な揚げ物が目に入る。
さらにその揚げ物を、観光客の方々が次から次へと購入する。一体皆様は、何に列を作っているのだろう。
小エビの揚げ物。
全体の90%が小エビで構成された、海老だらけのかき揚げ。小麦粉等でかさましされることもなく、サービス精神満点の一品だ。
どうやらこの小エビ、この沱江で採れたものらしい。目の前の河で捕まえているのだから、新鮮さも折り紙付きだ。
当然ここでも列に並び、揚げたての小エビかき揚げを購入する。一口食べるとふっくら柔らか、高純度の海老の旨味が雪崩込んでくる。
そしてお値段もわずか10元(約170円)と、お値段もお優しい。朝から臭豆腐と揚げ物で胃袋も忙しいが、大変美味しい逸品ばかりだ。
そしてもちこと海老揚げを分け合いながら、さらなる散策を。すると興味をそそる光景が、次から次へと現れる。
……。
ピクリとも動かない。
いきなり遭遇する、まるで子熊のような礼儀正しいわんちゃん。なぜこのモフモフちゃんは、微動だにしないのだろう。
恐らく看板犬だろうまなざしは、ずっと一点を見つめている。その頭をわしわしと撫でてみても、時折鼻の頭をぺろりと舐めるだけ。
首元の骨の名札には名前が書いてるけど、この名前じゃないと反応しないのかな?そう思って名前を見るが、漢字が難しくて全然読めない。
さらに街に広がる沢山の小道では、現地の方がご飯を食べている。日本と同じくお米が主食で、おかずと共にモリモリ召し上がっていらっしゃる。
朝からビールを飲まれる方や、紙麻雀に興じる方など。涼しい朝の鳳凰の楽しみ方は、人それぞれ。
鳳凰全体に敷かれた石畳も趣があり、歩くたびにコツコツ音が響く。その音が教えてくれる歩いている感も、また最高だ。
そして川沿いのお店には、中国らしい陶器の数々。その隣では右手に睡蓮の葉を持つ、睡蓮師匠(たぶん)もニッコリ幸せそうだ。
店内には魅力的な茶器が広がり、目移りもすごい。もし今地震が来たらどうなるのだろう?と思う程、一面茶器だらけのお店だ。
そしてお店の奥に入ると、壁一面に張られる一面の手紙が。どうやらここから中国全土に手紙が出せるらしく、郵便ポストまで備えられている。
そして窓の外には、広大な沱江。ここは鳳凰観光の気持ちを言葉に乗せ、友人や家族に贈る場所なのだ。
店員さんに写真のご許可を頂き、その光景を写真に収める。もし日本にも送れるなら、会心のイラストと共に友人に送付したい。
隣には専用の手紙書きスペースがあり、窓の外には沱江の家並みが広がる。そして少し座ると、なにやら文才が舞い降りそうな感覚だ。
もしここで手紙を書いたら、なんだか意識高い系の手紙を書きたくなっちゃいそうだな。拝啓〇〇君とか、普段は使わない言葉が溢れ出てくる気がする。
さらに夜は閉まっていたお土産屋が、道沿いに次々姿を現す。伝統的な服や着物も並び、袖を通したくなる物ばかりだ。
どうやら記念撮影用の服らしく、川沿いでは着物の女性で溢れている。確かにこれら民族衣装なら、鳳凰の景色にバッチリ映えるよね。
そして周囲は勧誘も凄まじく、沢山の女性観光客が笑顔でポーズを撮る。確かに夜だと暗すぎて撮影できないが、この昼間なら最高じゃないか。
私もせっかくだからと、もちこに記念撮影を勧めてみる。するとマジで嫌だと、都会っ子独特の断り方をされる。
彼女たちの笑顔に勝てる気がしない。
それがもちこが嫌がる理由らしい。確かにハチャメチャな笑顔だ。
中国独特の文化と金銭感覚
さらに周囲のお土産店を見渡すと、ここでも興味をそそられる。版権のるつぼと言える、好奇心を刺激するお土産ばかりだ。
ポケットから便利グッズを出す、みんな大好き猫型ロボット。メガネに話しかけて大人の美声を響かせる小学生探偵。さらに全く関係が見えないチェ・ゲバラまで、その守備範囲は広大だ。
ちょっと欲しい。お土産に最適だけど、これ税関で怒られそうだな…。
泣く泣くお店を後にし、さらに昼の鳳凰を散策することに。すると昨晩の祭りのあとらしい、生生しい光景に直面する。
~旅の続きは電子書籍で!~
第17話のお試し読みは、こちらまで。
宜しければオフラインで一気に読める、電子書籍はいかがですか?
キンドル読み放題対応ですので、是非ご覧下さい!
※iphone・アンドロイド端末でも、Kindleアプリでお読みいただけます!
~WEB版はこちらから!~