中国旅行記18 緑広がる昼の鳳凰と極上スーパーマーケット
美しさだけではない、湖南省・鳳凰。
人々、動物、景観、文化、そして美味しい食べ物。常識に被せるように、この街は飽きの来ない時間をくれる。
まだお昼前にもかかわらず、なぜだか止まらぬ空腹感。きっとそれは、この散策がそれほどエネルギーを使うからかもしれない。
飽きない昼の鳳凰古城散策
営業中かな?
思わずそう疑ってしまう、少し荒廃した市街地ビル群。サスペンス映画に出てくるような、全体的に薄暗い建物だ。
ただ中には二人の女性が座っており、営業中だと分かる。もしあの薄暗いビルがカフェなら、後で一杯飲みに行ってみたいな。
ただこの超観光地の鳳凰で、あのカフェはどうやって運営しているのだろう。まさかこの市街地も、珈琲一杯1300円の超観光地プライスなのだろうか。
そんな恐れを抱きつつ、ビジュアルで決めたご飯屋さんに突撃する。それは入った直後にヤバいと感じた、少し高級感漂うお店である。
しかし昨日から金銭感覚も崩壊しており、完全にお財布の紐もゆるゆる。200元(約3.400円)で済めばOKかな?と、2日前の私が聞いたらグーで叩かれそうな発想だ。
ただせっかくの鳳凰だから!という、謎の安心感もある。ここは前半の旅でお節約した自分を褒めつつ、美味しいご飯をもりもり楽しもう。
そう思いながら入店して通された、窓際の席。店内にはあまり人はおらず、ほぼ貸し切り状況だ。
これください。
席に着くとすぐに、女性店員さんがメニューをくれる。そして美味しそうなやつを!と全権をもちこに渡すと、即座に注文を始めだす。
早い。女性って、本当に決断が早い。
どうやらここも中華料理店らしく、読めない漢字のメニューがズラリと並ぶ。ただ思ったよりお値段はお安く、単品&白米作戦を決行しなくても済みそうだ。
注文後は窓際から鳳凰の市街地を眺め、旅前半の感想を話し合う。ただこのバックパッカーは、きっと終わってから寂しくなるタイプだ。
過ごしているうちは、夢中で時間も過ぎ去る。そしていざ日本に帰ると、きっとこの国の喧騒がまた欲しくなるんだ。
そしてそんな思い出話に最適なのは、やっぱりビール(12元:約204円)。注文から僅か30秒で運ばれてくる、昼間からご機嫌な一杯だ。
普段日本ではあまり飲まないため、この背徳感はまさに最高。まだ時間は昼の12時、素敵な一日の開会式にはもってこいである。
そしてすぐに、ホカホカの白米も運ばれてくる。お客も少ないため、コックさんも総出で作ってくれているのだろうか。
まずはお決まりの白米と、海老とセロリの炒め物。あっさり系が食べたい!と言っていた、もちこのチョイスだ。
価格も25元(約425円)と、海鮮系としては結構お買い得。ただもしかしてこの海老も、あの川の…と呟くと、もちこにじろりと睨まれる。
さらに運ばれてきた白米は、相変わらずの大家族サイズ。昨晩の火鍋店と同じく、食べ放題だからね!と、店員さんに教えてもらう。
同時にやはり!と嬉しくなり、カバンの中の例のブツを確認する。アレさえあれば、どんなお昼もお誕生日パーティだ。
さらに運ばれてくる、醤油炒飯といつもの胡瓜の叩き。こちらも合計25元(約425円)と、想像以上にお買い得。
しかしこの最強コンボが揃えば、このお昼飯は完璧だ。ダブルの炭水化物にお漬物、さらに主菜まで揃うなんて、胃袋が拍手喝采する組み合わせじゃないか。
まずは具が行方不明の、山盛り醤油炒飯。パラパラ感をモチモチ感に変えた、炊き込みご飯的な味わいだ。
これを先ほどの叩き胡瓜と一緒に食べると、もう極楽。いくらでもイケちゃうという言葉が、あまりに似合う美味しさに。
さらに海老セロリの炒め物を合間に挟めば、もはや無限廻廊。エンドレスで食べ続けられる、若気の至りが止まらない。
そしてさらにリュックから取り出す、秘密兵器。それはもちこもぐふふと笑う、禁断の味付け&違法な持ち込みだ。
奇跡のザーサイ。
既に1/3がつまみ食いされてしまった、桂林で購入した究極のお漬物。本来お土産用で購入したものだが、もはやそのお役目は果たせそうにない。
そしてこの漬物をご飯系に乗せると、もはや後戻りできない味わいに。ダイエットという単語を失念する、ギリギリ合法な逸品になってしまう。
旨い。
語彙力が有給中の様な、シンプルに特化した二文字の感想。しかしこの単語で十分表現できるほど、本当に美味しい。
おそらく大学時代なら、これと白米で四年が過ぎる。それほど満足感のある、ノンストッパブルな白米キラーである。
世界の白米フレンドに、声を大にしてお伝えしたい。
桂林のザーサイ、最高ですよと。これを日本に持ち帰れば、一財を築けるかもしれませんよと。
鳳凰市街地のスーパーマーケット
そしてお会計を終わらせても、まだお昼もど真ん中。折角なのでこの市街地も含め、もう少し散策してみよう
そういえば久しく、この国のスーパーにお邪魔していない。見たこともない商品が多数並ぶ、コストコ並みに楽しいあの空間に。
幸い鳳凰の市街地は比較的大きく、入り口付近に巨大なスーパーが。早速お店に向かい、一階で荷物を預けて入店する。
ちなみに中国のスーパーには、鍵付きロッカーに荷物を預ける習慣が。それは万引き防止が目的であり、そのまま入ろうとすると高確率でお叱りを受ける。
いつも迎えてくれる、むせ返すような甘い香り。果物が常温で山積みされ、その香りがフロア全体に充満しているのだ。
中にはドリアンやスイカなどの見慣れた果物から、全く初対面の果物まで。この国なら今朝もスムージー♪と、インスタ映えも狙い放題だ。
久しぶりのスーパーに興奮し、次々棚を物色する。すると日本ではお見掛けしない、多数の不思議な商品に迎えられる。
まずは今晩のお酒の選抜から。もちろん本日もBARに行くが、あまり狂った散財は身を滅ぼすだろう。
そのためこのスーパーでお酒を買い、ドミトリーでも晩餐会を開催しよう。お財布を傷めない配慮がなければ、途中帰国すら起こりうる。
そして店内には多数のワインが陳列され、その値段はピンキリだ。高い物は3000元(約5万円)から安い物は80元(約1.360円)までと、その価格には大きな差がある。
ここで良い感じのお酒を買っておけば、二日間の夜も安泰だ。特にワインは量も多いため、コスパもなかなか悪くないだろう。
しかし安いワインで良いね!と言いながらも、もちこが何かを観察している。ただ私は末期のワイン音痴のため、何をしているのかわからない。
彼女はラベルをじっくり読み、漢字の羅列をガン見する。どうやら中国のワインには、安いだけではない落とし穴があるとのことだった。
それは不味いという問題だけでなく、別物であるという可能性。つまり私が想像するワインではなく、完全に別のドリンクという危険性だ。
どうやらその偽ワインは中国だけでなく、もちこの住む台湾にもあるとのこと。時に低価格に惑わされ、その偽ワインを買ってしまうことも少なくないらしい。
そしてその偽ワインの特徴は、激アマだという点。まるで果汁ジュースにアルコールを入れたような、ファンタにウイスキーを混ぜたような味なのだ。
さらにその特徴は成分表と価格に現れ、私には全然違いが分からない。しばらく黙って見守っていると、もちこが全滅や…とワインを棚に戻す。
どうやらこの店内には、安い本物ワインは無いらしい。大人しくビールやカクテルで攻めるしかないようだ。
でもファンタにウイスキーか…。めっちゃ飲んでみたい。
仕方なくワインコーナーを後にして、他のお酒を探すことに。すると日本では馴染みのない、何ともクールな逸品に迎えられる。
どでかい。
子供の頃に駄菓子屋で買った、どでかバーよりどでかい。部活終わりに買い食いした、BIGカツよりBIGである。
どうやらパーティ用のビールらしく、そのサイズは比較すると一目瞭然。昨晩80元で飲んでいたビールが、まるでタラちゃんのようだ。
お値段も20元(約340円)と非常にお安く、これは是非ともお迎えしたい。しかしもちこはビールが苦くて飲めないため、一人宴会になってしまう。
しかも一度開けたら、確実に全部飲み干さなきゃいけない。二日酔いどころか、七日間戦争になりそうだ。
そのため棚にそっと戻し、カクテル系のお酒を数点カゴに入れる。すると後は、おつまみを買うだけだね。
しかしそこは、流石の乾物王国。お酒に合わないわけがない、様々なおつまみが次々へ視界に飛び込んでくる。
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