ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中国旅行記19 息を飲む鳳凰の夕暮れと立ちはだかる言語の壁

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夕方を迎える、湖南省・鳳凰

 

明かりが落ちると同時に、街の雰囲気が超観光地へ変わる。待ち望んでいた変化に、周囲の観光客からも歓声が上がっている。

 

そんな時に限って起きる、大きなトラブル。中国語が話せないことが、これほど厄介な問題になろうとは。

 

 

 

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夕刻間際の鳳凰古城探索

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思ったより、夕方が遅い。

 

カメラを持ち、ずっと夕刻のシャッターチャンスを待っている。しかし未だ街は明るく、美しい夕暮れも未だおあずけのようだ。

 

ただ限られたこの鳳凰の時間、有意義な時間を過ごしたい。そうだ、今晩楽しむ川船下りの予習をしておこうかな。

 

後ろ髪を引かれつつ、先ほどの謎の黒い球体と別れを告げる。結局その答えは分からず、帰国後の宿題となってしまった。

 

そして帰国後に判明した、あの物体の思わぬ用途。それは叫化雞(チャオホワチー)という、大変美味しい鶏料理とのことだった。

 

大変美味しいらしい叫化雞

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叫化雞(チャオホワチー)。

 

味つけした若鶏のお腹の中に、ネギ、ショウガ、サンショウなどをねじ込み。

さらに蓮の葉で包み、小麦粉等で練り固めて焼くお料理で…。

主に宴席の主菜として人気が高く…にゃむにゃむ…。

 

つまりどうやら、凄い料理らしい。普段自宅でトントンする手料理より、遥かにレベルの高い逸品とのことなのだ。

 

あぁ、そうだったのか。そう言われれば、何やら最高に美味しそうに思えてきた。

 

なんかう〇こみたいだとか言って、ごめんね。幼稚な感想を、この名物料理は許してくれるだろうか。

 

しかしそれほど素晴らしい料理だと知っていたなら、絶対に食べてみたかったなぁ。この巨大な料理を片手に、鳳凰の街を闊歩したかったんだ。

 

当時はそんな事もつゆ知らず、なんだこの岩…と訝しんでしまった。バイバイがんこちゃん!と、妙なあだ名までつけちゃったし。

 

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ただがんこちゃんとのお別れの後も、鳳凰の街はどこまでも広大だ。様々な場所でバンドも見かけ、その音色に耳を傾ける。

 

彼らの演奏は非常に美しく、この優艶な沱江の風景に非常にマッチする。滑らかで眠りを誘うような、優しいバラードナンバーだった。

 

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近くでは、女性観光者の方々がその演奏に耳を傾けている。なるほど確かに、この音楽を聴きながらの川沿いまったりは最高だ。

 

暫くその音楽を楽しんでいたいが、何せ興味を引くものが多すぎる。見たこともない光景が、次々へ視界に飛び込んでくるから。

 

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通りの小道はまるで昭和の雰囲気で、安心感と懐かしさを与えてくれる。その光景は父方の祖母の家そっくりで、思わず扉を叩きそうだ。

 

さらに日本で言う駄菓子屋さんも軒を連ね、現地の子供たちが遊んでいる。この近くに公園などがあれば、学校帰りの格好の遊び場所になるのだろう。

 

というかこの鳳凰にも、もちろん学校はあるよね。もしそうだとしたら、あの鳳凰の夜景を部活帰りに毎日見ているのか。羨ましすぎるなぁ。

 

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さらに全く歴史的背景の見えない、謎の巨面。これは一体、どんな感じに楽しめば正解なんだ。

 

取り合えずこの仮面と同じ表情をして、写真を撮るのが正解なのかな…。そんなことを思っていると、相方もちこが既に同じ表情をしている。撮ってくれと言わんばかりに。

 

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さらにかなり巨大なアヒルも現れ、足元をつんつん餌をねだってくる。どうやらこの界隈では、動物たちがとても元気一杯らしい。

 

しかしこのダックちゃんたち。もしかしてお鍋屋さんの前に繋がれた、鴨や蛇たちと同じ運命なのだろうか。

 

ただ首輪もしていないし、自由奔放に出歩いてるぞ。もしかして彼らは、藻とか食べるからペットとして迎えられているのかな?

 

そしてそんなことを考えていると、かなりショックな看板に遭遇する。思わず言葉を飲み込む、足早になる一文だ。

 

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本店不接日本人。

 

つまり日本人お断り、マジで来ないでねという看板である。

 

(._.)

 

マジで来ないでね…か…。

めちゃめちゃにしょんぼりしてしまう。

 

思わず校長室に呼び出された気分になり、日本語を飲み込む。そして同時にもちこから、日本語完全禁止令が出されてしまう。

 

確かにこの手の情報は、事前に耳にしていた。ただ実際に拝見すると、結構悲しい光景である。

 

しかしこれも、一つの歴史と文化なのだろうなぁ。あまり理解と知識の及ばぬ私は、そっと足早に立ち去るべきだろう。

 

ただ誤解ないよう、一つだけ申し上げておきたい。それはこの鳳凰の多くの人々が、最高に優しく差別的ではないという点だけを。

思わず語ってしまう珈琲タイム

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まぁ、そんなこともあるよね!

 

もちことそう頷きあい、鳳凰の街並みをさらに突き進む。まだまだ小道は奥に伸び、いくらでも散策する場所はありそうだ。

 

そして歩いていると、何やら川沿いにオシャレなカフェが。どうやら珈琲も飲めるらしく、お散歩の小休止に飛び込んでみる。

 

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まるで名作・耳をすませばに登場する、お洒落なお爺ちゃん系が運営してそうな店内。これで店長が白髭でなければ、ある意味詐欺だ。(そんなことない)

 

ただ思ったよりも人は少なく、どうやら川沿いの席が確保できそう。この雰囲気で沱江を眺められるなんて、本当に幸運だ。

 

さっそく受付の女性に、二人で!と日本語で伝える。同時にもちこから肩パンを貰う。

 

日本語使うなや!と言われ、慌てて先ほどの看板を思い出す。そういえば先ほどの看板から20mしか離れておらず、そういう思想の方もいらっしゃるかもしれない。

 

そこで慌ててりゃんうぇい(2人)と言い直すが、よく考えるとずっと日本語を使わないわけにもいかない。もちこにそう伝えると、それもそうだね?と禁止令が解除される。

 

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店内でも響く、専属のバンドの心地良い音楽。その音色は店内の雰囲気と非常にマッチし、暫く居座りたくなる心地良さだ。

 

席に着くと同時に女性店員がメニューをくれ、直ぐに珈琲を注文する。さらに目についた甘味も注文し、もはやお財布の紐はゆるみっぱなしだ。

 

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そしてすぐに運ばれてくる、二日ぶりの珈琲とおまけのアイス。これぞ散策日和に最適な、冷たい甘さと温かい苦みのナイスタッグだ。

 

アイスが冷たくて美味しい。そして珈琲が温かい。このエンドレスループは、日本でも中国でも変わらず最高だ。

 

 ただ金銭感覚のネジが、なんだかバカになっている気もする。約60元(約1.020円)でもお安く感じるが、 同じ古城でも平遥古城ならきっと半額だっただろう。

 

ただお金の話ばかりされても、ぶっちゃけ興覚めだ。この鳳凰では極力気にせず、思う存分この旅を楽しませていただこう。

 

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外を眺めながら、大きめのアイスを一口パクリ。10月とは思えない熱気に、抹茶とタロイモの甘みが心地良い。

 

意外にこのバックパッカーでは、中国のアイスに何度もお世話になっているなぁ。ちょっと攻撃的な甘みが、なんとも最高の旅感を演出してくれるんだ。

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そしてカフェから見える、昨晩ライトアップされていた石橋と寺院。バスクリンの様な川面に反射し、夜とは違った美しさである。

 

あの寺院に泊まれたら、きっと千と千尋の宿舎の様な夜景が見えたんだろうなぁ。あの窓から足を出して、肉まん食べてみたい。

 

さらに昔の寺院の住民は、水面を眺めながら毎晩何かを吟じたんだろうな。LINEもない時代だし、思う存分お洒落な文面を練りまくってたんだ。

 

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そして沱江には多数の木船が総出で出動し、長い木の棒で何かを掬っている。どうやら川の藻が繁茂しすぎたため、鎌でザクザクカットしているらしい。

 

さらにその短くなった藻を河口に流し、川岸でまとめて収穫している。なるほど、効率の良い手法だ。

 

あんなに藻が生い茂っているということは、川底にはメダカの学校も沢山あるんだな。川沿いにもお鍋屋が多かったし、川魚はこの街の大切な資源なんだ。

 

そんな人々の光景を眺めながら、この旅で撮り貯めた写真を振り返る。ふと気づけばこの旅もあと僅か、もう来週には帰国が迫っているのか…。

 

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ただこの鳳凰を満喫でき、本当に心から満足している。もしこれから友人に旅の行き先をお勧めするなら、間違いなくこの街だ。

 

いや正しくは、この中国全体をお勧めしたい。確かに少しクセはあるけれど、複雑な感動をくれる国である。

 

人々は素直で快活で、その文化が生活に根付いている。そこに飛び込めば、彼らの郷の中で思いがけない経験をさせていただけるのだ。

 

…そんなちょっと、それっぽい感想に浸る場所。それが、鳳凰の川沿いカフェ。

 

恐らく誰も興味がないことまで、思わずつらつらと語ってしまう。現に目の前のもちこは、途中から完全に興味がないご様子である。

 

このまま居座ると永遠に語ってしまいそうで、偏屈な兄ちゃんになりそうだ。お会計を済ませて出発しようかな?

 

そう思い、先にお手洗いをお借りすることに。この鳳凰、公共のトイレがあまり見当たらず、こういったお手洗いチャンスは逃してはならないのだ。

 

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そしてこちらが道路に面し、さらに階段の下に設置された驚異のお手洗い。その最大の特徴は、激せまであるということ。

 

これがもう、猛烈に狭い。体重制限を設けるべきじゃないかと疑うほど、ふくよかな方はジャストフィットしてしまう恐れがある。

 

狭い個室の中では方向転換も難しく、前向きで入場してバック(後退)で出てくる。ぎっくり腰の方にはあまりお勧めしない、難易度Sクラスの和式便座だ。

 

私も根性で入場し、何とかお仕事を済ませて脱出する。5分以上入っていると、確実に腰を持っていかれる構造である。

 

そんな困難を乗り越え、オシャレな喫茶店を後にする。すると次第に空の明かりも薄くなり、夕方の気配が近づいてきた。

 

さらに先ほど眺めた川沿いを歩いていると、ふと何かと目が合った。もしかしてあれは、個人的に敬愛するあの方じゃ…。

 

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( ゚Д゚)!!

 

ま、まさか…。

ダダダダ…(※猛ダッシュする音)

 

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サリー師匠!

 

まさかこんなところで、お会いするとは…。しかしこの鳳凰の沱江のたもとで、一体何をされているのですか。

 

どうやら先ほど眺めていた船による川掃除で、河口に流されてしまったようだ。つまりこの街のどこかで、このグッズが売られているに違いない。

 

…極めてどうでも良い話で、誠に申し訳ない。ちょっとだけお話をさせて頂ければ幸いだ。

 

実はSNSでもひよこのアイコンを使わせていただくほど、個人的にひよこ系には目がない。なぜか本能的に惹かれてしまう、謎の引力を持つ生物である。

 

ただ残念ながら、このひよこ好きに対する女性陣の反応はすこぶる悪い。ギャップ萌え狙ってるんでしょ?と、いつも一蹴される次第である。

 

そのため今回も、残念ながらそのまま素通りしなければならない。むしろこの写真を撮っていること自体、もちこに悟られてはならないのだ。

 

…でもこれ、一体どこに売っているんだろ。

 

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遂に訪れる鳳凰の美しい夕暮れ

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気を取り直して川沿いを歩くと、なんだか人が多くなってきた。どうやら皆も同じく、鳳凰の夕刻チェンジを楽しみにしているんだなぁ。

 

明るい昼と優美な夜が交代する、世にも美しいと評判の鳳凰の夕暮れ。その瞬間を待ちわびる気持ち、分かるよ同志たち。

 

是非一緒に、おおお~!!とか言おうね。そして写真撮りすぎて、一歩も歩けなくなろうね。

 

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…変わってきた。

段々と空の明かりが落ち、同時に街の明かりが灯り始める。 

 

ジワリジワリと赤みを帯びる、鳳凰の街並み。まさに千と千尋の湯屋の開場のようで、感動に打ち震える。

 

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変わった…。

 

完全に夕方バージョンに変化する、鳳凰の街並み。これぞ待ち望んでいた、まだ見ぬ美しい世界である。

 

綺麗だなぁ…。もう毎日が、神社のお祭りみたいだなぁ…。

 

ただ歩きながら、ひたすらその光景を目に焼き付ける。もう綺麗…綺麗…ばかり呟きながら歩く、新手の妖怪だ。

 

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眩しいほどの暖色に、人々の笑顔も3割増しに。確かにこの光景で不機嫌になったら、朝ご飯がまずかったとしか思えない。

 

そして暫く眺めていると、突如空腹感に襲われる。先ほど食事をしたばかりなのに、なぜこれほどパラペコなのだろう。

 

まさかこの鳳凰で、いきなり成長期に襲われるとは。ただ折角の嬉しい空腹感、この暖色を見ながら川沿いでご飯に使用。

 

夕刻の光に包まれながらの食事って、一体どれほど最高なんだろう…。もう一刻も早くお店を決めてしまいたい。

 

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もうどこでもいいや!

 

即座に川辺に美味しそうなお店を発見し、値段も見ぬまま突撃する。理由は単純、窓際の席が空いていたから。

 

もし窓際の席で食事ができるなら、まさにプライスレス。窓際キレイでしょ代が追加チャージされても、絶対文句言いません。

 

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さっそく滑り込むように店内に入り、店員さんに窓際の席をお願いする。そして笑顔でいいよ!と言わると同時に、さささと窓際の席を確保する。

 

あぁ、やはり思ったとおりだ。綺麗な川沿いがオレンジ色に紅葉し、街全体を眺められる良席じゃないか。

 

そして本日の散策で、お腹もがっつり腹ペコである。ここはまず落ち着いて値段を拝見し、ベストなディナーを堪能しよう。

 

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ふむふむ。全然高くないような気も、しないような事もない。

 

正直爆安う!と立ち上がるほどではないが、晩御飯には適正価格。この価格ならあまり気にせず、お料理をガシガシ注文しよう。

 

注文はもちこに任せ、私は数少ない知ってる中国語でイガ・ピージョと申し添える。ちなみにこれは美味しいビールが出てくる、魔法の言葉。

 

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そして即座に冷たい啤酒とカップ、さらに様々な料理が運ばれてくる。しかしこの旅が始まって以来、一体何杯の啤酒を頂いてきたんだろう。

 

ただあまり飲み過ぎると景色が歪んで見えるため、ここはちょっと抑えめに。あとはこの夕暮れをおかずに、もりもりご飯を食べちゃいたい。

 

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まずは運ばれてきた、本場感漂う青椒肉絲(28元:約476円)。たっぷりの唐辛子が刺激的で、少し油の多めな逸品だ。

 

その味わいは少し薄めで、これだけでもモリモリ食べられる。日本の中華料理がかなり味付けが濃いというのは、やはり本当だったんだ。

 

もしかして中国のの理は、あまり白米と食べる事を前提としていないのかもしれない。シンプルにおかずだけでも満足感が高く、料理の旨味を堪能できるのだ。

 

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ただ白米はでかい

 

日本人の本能が疼き、やはり白米も注文する。するといつものように樽ごと登場し、給食のような雰囲気に。

 

鳳凰の白米、なぜいつもでかいんだ…。そんな米の名産地的な感じもないのに…。

 

鳳凰おいでよ、白飯食べに。そんなキャッチフレーズを掲げれば、さらに人気が出るかもしれないね。

 

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そして続いてもちこお気に入りの、ジャガイモ細切り炒め(15元:約255円)。さらに登場する、牛肉と青菜の辛炒め(約45元:約765円)。

 

シャキシャキでピリ辛、というか全て辛い。料理の唐辛子搭乗率が100%を超え、口の中が常に刺激的だ。

 

しかしこのピリ辛を超えたスパイシーさが、何とも脳まで心地良い。もしかして日本料理の辛さに、もう戻れない体になっちゃってるかもしれない。

 

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モリモリ白米とおかずを食べ、完全に日が沈む鳳凰を凝視する。窓の外は、もう完全に夜だ。

 

そして眺めていて、ふと思う。この鳳凰の美しさは、歴史的な街並みとライトアップだけではないのだと。

 

その光沢が水面に反射し、街の光沢がその中に揺らぐ。鏡の様に対になったその夜景こそ、他の観光地とは異なるのだと。

 

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いわばなのだ。この沱江の水面のおかげで、ただでさえ美しい鳳凰が二倍になって襲ってくるんだ。

 

そして川面に船が走るたびに、その美しさが一度半減する。しかしすぐに煌びやかな二面の光景を取り戻し、街全体がまた明るくなる。

 

その光景を見ているだけで、いくらでも時間を過ごせる気がする。しかもここはご飯処の窓際の席、ゆっくりする理由しか見当たらない。

 

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もちこのテンションもあがり、何やらゲラゲラ爆笑している。お箸が転んだだけで、呼吸困難になりそうだ。

 

今ならリズムネタでもなんでも、この方ならば絶賛してくれる。もし自信を付けたい芸人の方がいらっしゃれば、是非この日本人にネタを披露して欲しい。

 

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突如襲い来る最大の試練

 

そしてひとしきり晩御飯を楽しんだら、遂に川下りだ。昼に拝見した川下りを、この夜景の中で決行する時が来たのだ。

 

川面も反射しダブルで美しい、鳳凰夜の川下り。想像するだけで、もう居ても立っても居られない。

 

 

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早速荷物を背中に抱え、お店の方にお会計をお願いする。そしてここでもまた来てね!と言われ、お酒以上にほっこりする。

 

外は少しだけ肌寒かったが、涼しさに近い心地良さだなぁ。この気候ならば、きっと船でブイブイ進んでも、ガクブルになることはないだろう。

 

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そして川下りの乗り場を目視で探すと、どうやら向こう岸にあるようだ。観光客が列を作り、順番に船に乗り込んでいる光景が目に入る。

 

ということはつまり、朝に渡った飛び石を越えるのか。しかしこのへべれけ日本人達に、あの高難易度の橋が渡れるだろうか…。

 

少し不安を感じつつ、昼間の飛び石に向かう。すると夜でも沢山の人でごった返し、そのレベルが各段に上がっている。

 

~ 飛び石の橋(昼間の様子) ~

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ただこの飛び石を渡らなければ、川下りに向かえない。遠くには大橋もあるのだが、ぶっちゃけそんなに歩きたくない。

 

ここはこの飛び石を攻略し、川下りの場所を目指すことにしよう。そうすれば今なら、さほど並ばなくてすむから。

 

そう考えて、よろけながらもピョンピョン飛ぶ。集中力を切らさなければ、なんとか…。

 

 

ぎゃああああ!!

 

( ゚Д゚)!?

 

な、なんだなんだ!?

なになになに!?

 

飛び石を渡り始めると突如、背後からもちこの叫び声が聞こえる。もしかして第一歩目で、いきなり沱江にぶっこんでしまったのか。

 

慌てて振り返ると、そこにはしゃがみ込むもちこが。そしてお化けの様に唸りながら、近くのベンチに避難し始める。

 

よろよろ…。

 

ちょ、ちょと!どうしたの!

なんか凄い叫んでたけど、大丈夫か!

 

慌てて尋ねると、めちゃめちゃに険しい顔をするもちこ。その深刻な顔に、結構重大な問題の発生を予感する。

 

そして彼女は靴下をまくると、OMG…となぜか英語で凹み始める。意味も分からずその足を見ると、私もOMG…と続けて呟く。 

 

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激腫れである。

 

なんだこのいよかんみたいな足は…。何がどうなったら、この一瞬でこんなに腫れるんだ…。

 

話を聞くと、どうやら第一歩目でいきなり踏み外したらしい。そして足首を盛大にひねったらしく、パンパンに膨れているのだ。

 

第一歩目で…。1-1でクリボーにやられるマリオみたいだ。

 

もう誰が見ても確実に腫れており、見るからに激痛だ。しかしどうやら骨は折れていない(自己申告)らしく、恐らくねんざとの見解である。

 

い、いだい…。

ねこやま、助けてくれ…。

 

もちこは繰り返し呟き、二人でちょっとパニックになる。この時間は勿論病院も空いておらず、そもそも飛び込み日本人はOKなのだろうか。

 

こんな時は氷で冷やして、足を固定して…。近くのベンチに腰をかけ、約30分ほどその対処法をネットで検索する。

 

痛みや足が動くかどうか、その症状で検索する。すると次第に痛みも少し和らぎ、病院はいいや!ともちこが言い始める。

 

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さらに隣に座っていたおばちゃんも、心配そうに話しかけてくれる。そしてもちこの足を見ると、それねんざだよ!となぜか笑い始める。

 

加えてそんな時にはこうしたらいいよ!と、様々なアドバイスを教えてくれる。ただその対処法があまりにワイルドすぎ、決して実行不可能であると確信する。

 

ただこれは、おばちゃんが笑ってくれる程度のねんざなのか。少しホッとするものの、いまだもちこの足はパンパンだ。

 

これは早急に、私が何とかしなくてはならない。こんな時に慌てふためく男性が、旅の相方に信頼されるわけがない。

 

ベンチで痛そうな足を延ばし、スマホで楽しそうにSNSに興じるもちこ。この状況を打開する方法を、脳フル回転ではじき出す。

 

そうだ、湿布だ!

 

私も高校時代、部活で何度となくねんざをしたことがある。そしてその時にいつも助けてくれたのが、冷たい湿布だった。

 

この4000年の歴史を持つ中国ならば、きっと湿布もあるはずだ。しかもかなり効果の高そうな、漢方モリモリの一品に違いない。

 

私はもちこをベンチに座らせ、お財布から200元ほど取り出す。そして湿布を探す旅に出ることを告げ、キリリと険しい顔をして見せる。ちょっとカッコつけて。

 

するともちこはまだ動けないらしく、私のお使いを分かった!と快諾する。んじゃここで待ってるから!と言いながら、ベンチから見送ってくれる。

 

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一人で鳳凰の夜に飛び出し、昼間の市街地に向かって走る。スーパーもあったあの場所ならば、きっと薬局の一つや二つあるだろう。

 

何かしらの使命感にかられ、人混みの中を猛ダッシュで走り抜ける。湿布はできるだけ早い方が良いという、ネットの記事を信じながら。

 

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そして約5分ほど走り、やっとの思いで鳳凰の市街地へ。ただ昼間とは違うルートで来たため、思わぬ美しい城門にも遭遇する。

 

綺麗だなぁ…( ゚Д゚)

 

…いやいや、眺めている場合ではない。足がいよかんになった相方が、私の帰りを待っている。

 

本来ならば写真を数十枚撮りたいが、ここは我慢して一枚だけ。あとでもちこにも見せるためのお写真のため、神よどうかお許しを。

 

そして走りながら薬局の看板を探すが、なかなかその二文字が見つからない。もしかしてこの街に、薬局というのは存在しないのか。

 

薬局…薬局…。

薬局…薬局…どこだどこだ。

 

ないぞ、ないぞ…。

……。

 

…ん?ちょっとまてよ( ゚Д゚)?

薬局なのか?私が探す看板は、薬局の二文字なのか?

 

そもそも薬局って、日本語じゃないのか?もしかして中国語で薬局って、別の言葉だったりするのだろうか?

 

いや、そもそもその前に…。

もしかして私は、盛大な過ちを犯しているのではないのか…。

 

湿布って、なんて言うんだ。

 

 

突如降りかかる、中国語の越えられぬ壁。リンゴを買うのと訳が違う、湿布という超専門的な商品の散策。

 

この旅における最大の試練に見舞われ、一瞬足を止めてしまう。啤酒(ビール)くらいしか中国語を知らない私に、湿布は購入できるのだろうか。

 

身振り手振りで、行くしかない。溢れる不安を押し殺し、もう一度鳳凰の市街地に走り出す。

 

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