ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中国旅行記20 全てに感謝する湿布探しと夜の鳳凰沱江川下り

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本当に通じない。

 

少しくらい意思疎通できると思っていた、自分が間違っていた。良く考えればこの中国の奥地で、日本語が通じるわけもない。

 

相方もちこの捻挫を治すために、現地の薬局で湿布を購入する。その難題は中国語を話せない私にとって、まさに試練だった。

 

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全てに感謝したい鳳凰湿布探し

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薬局がない。

 

どこを見渡しても、どんな小道に入ってみても。湿布が売られているような薬局が、全く見当たらない。

 

やはり薬局という看板を探すべきではないのか。もしかして漢方とか、そういった名前の看板を探すべきなのか。

 

高い中国語の壁を感じ、この湿布捜索ミッションの難しさを理解する。しかし早くしなければ、もちこの足はもっとパンパンになるかもしれない。

 

そう思いながら鳳凰市街地を走っていると、一軒のお店を発見する。それはどうやら雑貨店らしく、もしや!と可能性を感じて入店する。

 

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沢山の人々で込み合う、雑貨店の店内。タオルやブラシ、お菓子やタバコまで、あらゆる商品が取り揃えられている。

 

じゃあとりあえず、店長さんに尋ねてみようかな。もし棚で湿布を見つけても、文字が読めないから湿布だって分からないものな。

 

そう考えて、お客さんと談話中の女性店長さんに話しかける。もちろん中国語は使えないため、英語と日本語のミックスで。

 

もしどちらかの単語に反応してくれれば、このミッションは超かんたん。なんだよく考えたら、めちゃくちゃ楽勝じゃないか。

 

日本語話せますか?

 

そう尋ねた瞬間、夕方の悪夢が脳裏をよぎる。そうだ…。もしこの女性店長が、日本に良い印象をお持ちでなかったら…。

 

しかし今は、湿布を購入することが最優先だ。もし日本人かよ!と嫌がられたら、別の場所で英語で尋ねれば良いんだ。

 

ただ実際に尋ねると、店長さんは (*‘∀‘)?と和やかな表情。それと同時に、日本語は全く使えないことが判明する。

 

じゃ次は、英語だ。Can you speak English?だ。中学の教科書で岡久美がめっちゃ使ってた、あのお決まりの挨拶だ。

 

すると再度 (;´・ω・)?という表情をされ、完全に言語が封印されてしまう。もう言葉は一切役に立たず、表現力だけが唯一の方法のようだ。

 

湿布…。表現だけで、湿布を買いたいことを伝える…。

 

…よく考えたら、めちゃくちゃ難しいじゃない!肩が凝ってるマネくらいから、始めなくちゃいけないじゃないか。

 

どうやれば効果的に湿布を探していることを理解してもらえるんだろう。というかその前に、なぜ出発前に、もちこに湿布の中国語を聞いてこなかったのだろう…。

 

もはや人類の叡智の言語を捨て、身振り手振りで説明する。まず最初は捻挫を表現するため、目の前でコケるアクションをしてみた。

 

( ゚Д゚)!!

 

な、なんだこの狂った日本人は!

そんな表情で店主は笑い始め、周囲からは子供達も集まってくる。

 

渾身のコケアクションも全く通じず、次は足首を曲げてみる。さらにここに貼るものなーんだ?的に首を傾げ、答えをどうぞ!的に手を向ける。

 

しかし全然伝わらない。マジでなんなんだ…と、店長をかなり困惑させてしまった。子供たちも笑い転げ、さらに周囲の客も、こいつ何がしたいんだ…と唖然としている。

 

まずい。

 

びっくりするほど伝わらない。

湿布という単語を伝えるだけで、こんなにも辱めを受けなければならないのか。

 

本当に約20分、粘りに粘っても全然伝わらない。もしや!と思って紙に湿布と書いても、店長は全く分からないご様子である。

 

かなりの絶望感に包まれ、それでも店の棚を捜索してみる。すると何やら、カウンターにそれっぽい逸品を発見する。

 

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氷爽〇涼。

 

おお?これは、何だか冷たそう…。もしかして湿布ではないが、湿布的な役割をしてくれないかな?

 

しかしそれを店長さんに尋ねると、走った後に額を拭く身振りをしてくれる。どうやら制汗的な商品らしく、英語でもskin care wipesと書かれていた。

 

うーむ、これじゃ湿布の代わりにはならないか…。ずっと拭き続ければ冷たさもキープできそうだけど、お肌カサカサになるな。

 

このように何回ジェスチャーを重ねても、一向に伝わらない。もう子供達も次のクイズ出してくれ!と、変な時間になってしまった。

 

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神に感謝する幸福な出会い

 

このお店は諦めて、もう他のお店を探すことにしよう。もし偶然薬局を見つけられたら、商品棚から湿布も探せるだろう。

 

そう考えて店長と子供に一礼をし、再度大通りを探し始める。ただ子供たちも手を振ってくれ、気持ちはすこぶる前向きだ。

 

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ただ気持ちは焦り、なぜかこんな意味のない通りの写真まで撮影してしまう。当時の焦燥感が、この一枚に集約されている気がする。

 

ただこの時の事は、鮮明に覚えている。それは大通りの角を曲がった時、その瞬間。

 

多数の中国語が溢れかえる、鳳凰の夜の喧騒。その中に耳慣れた、それでいて懐かしい言語が飛び込んできた。

 

『じゃあ高橋さんかな?』

 

…タカハシサンカナ…( ゚Д゚)

 

日本語?この中国の奥地で、日本語が聞こえる!?

 

一瞬我が耳を疑ったが、どう考えても日本語だ。これほどハッキリと耳にしたのだから、啤酒の飲み過ぎじゃない。

 

この鳳凰で一度も遭遇しなかった日本人が、この通りのどこかにいる。そしてそれは、ここまで声が届くほどの至近距離にいらっしゃるのだ。

 

夢中で通りを見渡し、そして日本語の発信源を突き止める。するとそこには、何とも神の助けの様な人々が集っている。

 

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日本人観光客の方々。

 

この鳳凰では本当に確率の低い、まさかの日本人旅行の方々。私の両親くらいの年の人々が、この鳳凰を仲良くご旅行されているのだ。

 

本当に助かった…。心の底からそう感じ、何の迷いもなく話しかける。

 

すみません!もしかして日本人の方ですか!と。失礼だとは存じますが、中国語を話せる方はいらっしゃいますか!と。

 

すると彼らも大変驚いた様子で、私の心配をしてくれる。かなり困窮した顔をしていたらしく、大丈夫!?と優しく声をかけてくれる。

 

私は自分の状況をお伝えし、中国語を話せる方をお伺いした。ここは何としてでも、湿布の中国語を突き止めなければならないんだ。

 

すると一人の男性が、ああそれなら!と声を上げる。そして団体の先頭に向かって、突如走り出す。

 

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オンさ~ん!!

 

高身長の一人のお洒落な男性が、マッハで前方に走り始める。どうやら先頭にいるオンさん(仮名)と言われる方が、ツアーのガイド様らしい。

 

そして中国人ガイドのオンさんなら、きっと湿布の中国語が分かるはず。そう思い立った一人の男性が、優しくも私のために走り出してくれる。

 

ちなみに左に写るピンクズボンの女の子は、先ほど私を爆笑してくれたお店の子。通りすがりに手を振ってくれ、同時になにやってるんだろ?と興味津々だ。

 

そして走り出した男性に追い突き、そこでオンさんという女性ガイドさんに対面する。彼女は中国人ガイドさんで、慌てる私にどしたの!と日本語で尋ねてくれる。

 

そして呼吸を整え、ここまでの事情を説明する。すると彼女は、快く湿布の中国語を教えてくれた。

 

鞄から紙とペンを取り出し、丁寧な文字でスラスラ綴る。 するとその紙には、こう書いてある。

 

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胶布。

 

ちょっと惜しい。湿布ではなく、胶布だったんだ。

 

もしかして湿布詮索は、良い感じのところまでは行っていたのか。あのジェスチャーと湿布の文字で、もしや胶布かな?とか思ってくれていたのかもしれない。

 

私はサンキュー!となぜか英語でお礼を告げ、団体の方々にも深いお礼を申し上げる。

本当にありがとうございます。これで相方も助かりますと。

 

すると皆様も時間があれば一緒に行ってあげるのにねぇ…。と気にかけてくれる。いやいや皆様の楽しい団体旅行を、こんな若造が邪魔をして誠に申し訳ない。

 

リベンジを達成する鳳凰湿布探し

 

何度もお礼を告げながら、先ほどのお店に猛ダッシュする。答えを見つけてきたぞ!と、結構なテンションで。

 

すると子供たちもまたあいつだ!と、再度路地から集まってくる。しかし残念坊やたち、もうお遊びの時間は終わりなんだ。

 

さっそく頂いたメモを店長に差し出し、その所在を尋ねてみる。すると彼女は、ああこれのことか!と何度も頷いてくれる。

 

そして私を大通りに連れていき、反対車線の一軒のお店を指さす。どうやらそのお店こそ、私の求めていた湿布を取り扱う薬局とのことなのだ。

 

※本来はそのお店も撮影するべきだったのですが、本当に焦っていて未撮影。そのため良い感じの薬局をご想像いただければ幸いです。

 

そして店長にお礼を言い、信号を待ち、慌てて渡る。売り切れるわけもないのに、もし売り切れたら!と、変な強迫観念に駆られてしまう。

 

急いでお店に入店すると、店内には薬剤師と一人の老人が。どうやらお店の店員さんと、常連さんが一緒にお茶を飲んでいるらしい。

 

そして早速メモを手渡し、中国語が離せないことをアピールする。するとお茶を飲んでいる老人が、りーべん?(日本人?)と尋ねてくる。

 

ここはもう隠しても仕方がないと思い、YESと返答する。するとその老人は意外にも、にこやかな笑顔でこう言うのだ。

 

中国ノ薬ハ、ヨク効クヨ。

 

( ゚Д゚)

…日本語!!

 

まさかこんなところに、日本語の話せる方がいらっしゃるとは!ご年配の方の中には、日本語に精通された方がいるというのは、真実だったのか。

 

心の底から驚き、そして安堵する。ここまで来ればもう、ぼほ確実に湿布を手に入れられる。

 

そしてその老人の方に頭を下げ、通訳をお願いする。すると彼女は快く、私の願いを中国語に変換してくれるのだ。

 

隣で笑う薬剤師に連れられ、店の奥へ。そして遂に、念願の商品が目の前に飛び込んでくる。

 

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めっちゃ効きそう。

 

トラとか吠えてるし、二頭もいるし、本場感がすさまじい。パッケージのどこにも胶布とは書かれていないが、きっと医薬品なのだろう。

 

価格も約45元(約765円)と、なかなか良い感じのお値段だ。もしこれで効かなかったら、ある意味びっくりである。

 

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さらに裏面には、湿布であることを確信するイラスト付き。これでこの商品が冷えピタである可能性もなくなり、ほっと一安心だ。

 

あぁ、ついに出会えた…。本当に良かった…。 

 

老人と薬剤師にお礼を伝えると、薬剤師が何やらもう一つ取り出してくれる。どうやらさらにエクストラな商品もあるらしく、それもどうだ?と勧めているようだ。

 

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凄そうである。

 

もう良く分からないけれど、これも絶対に効きそうである。これほど関節痛に効くよ!と一目で分かるイラストが、この世にあるだろうか。

 

60元(約1.020円)と決してお安くはないが、ここは即決で購入しよう。隣で老人の方もトテモキクヨと、教えてくれていることだし。

 

レジで二つの商品を購入し、二人の中国人に強くお礼を申し上げる。そして商品を小脇に抱え、その薬局を出ようとする。

 

そしてこの時に老人がかけてくれた、気ヲツケテネのお言葉。これが心から嬉しかった。本当に焦っていたため、人の優しさが脳細胞まで叩き込まれそうだった。

 

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湿布の激効果と念願の鳳凰川下り

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帰りは鳳凰の大きな橋を通り、夜景の全容を撮影する。その眼下にはもちこが待っているベンチも見え、ここまで来れば一安心だ。

 

地上から眺める夜景とは一味違う、眩しく神々しい鳳凰の街並み。あぁこの光景が見られたのも、一重にもちこの捻挫のおかげだなぁ。

 

しかし捻挫が良くなっても、きっと彼女がこの高台に来るのは辛いよね。そう考えると私がここで、何枚か写真を撮っておくべきかな。

 

そう思いながら、暫く橋の上から写真を撮り続ける。相方のためという大義名分を手に入れ、大変ご機嫌だ。

 

パシャパシャ…。いいよぉ、インスタ映えするよぉ…! 

 

するとその中の一枚に、何とも奇妙な光景が移り込む。それは鳳凰の夜景にぽっかりと浮かぶ、オレンジの発光体だ。(写真左上)

 

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( ゚Д゚) ?

 

あれは…なんじゃろな?

一見すると山の上の建物のようだが、それにしては高すぎる気も…。

 

この橋すら結構な高台に位置するため、それをさらに超えてくるとは。もしかして幼少期からの念願だった、UFOなるものなのでは?

 

そう思いながら橋の上で、ワクワクしつつスマホの画面を指で引き延ばす。するとそこには、何とも微妙なオレンジ色の物体が浮かんでいた。

 

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(;´・ω・)

 

すごく微妙である。

飛行物体の様でもあり、建物の様にも見える…。

 

さらになにやら側面には、階段の様な構造が。期待していたUFO感はあまりなく、これを未知の発光体というには強引すぎるかなぁ。

 

いや良く見ると、龍の頭部に見えないこともない気がする。でもいや…やっぱり…ただ山頂の塔のような建物なのでは…。

 

橋の上でそんな葛藤を繰り広げること、約3分。はっと我に返り、もちこの元に猛ダッシュする。

 

何やってるんだ。湿布を手に入れ、完全に気が抜けている。

完全にこれは今じゃない作業であり、全く急ぎの案件でもない。

 

私の急務は、この皆の優しさの結晶である湿布を届けること。相方のいよかん足に向かって、このスプレーをプシー!することである。

 

鳳凰の大橋を走って駆け抜け、小道を通って川沿いに降りる。するとベンチには、右足パンパンマンが一人で座っている。

 

早速もちこに買ってきた商品を渡し、まずはプシーと一噴霧。さらに薬剤が沁み込んだタイミングで、上から追加で湿布を貼り付ける。

 

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よし、これでもう大丈夫。きっとすぐに良くなるよ。

 

ベンチに座って切れ切れの呼吸を整えながら、川沿いの夜景を眺めてみる。昨日も十分に堪能したが、やはりこの光景は別格だ。

 

全ての建物がルールのように吊るす、煌びやかな電灯。川沿いから建物に向かい、照らし出すようにライトアップされている。

 

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さらに小さな石橋の下には、蒼色の光が差し込まれている。なぜか洋風な雰囲気を持ち、背後とのギャップに萌え死にしそうだ。

 

これならどこに石橋があるか、一目瞭然。こういった小さな配慮も、この鳳凰の人気の秘密なのかもしれない。

 

ただそれでも、もちこは落ちたけど。

 

そんなことを考えながら、もちこに足の様子を尋ねてみる。するとまだ少し傷むものの、先ほどとは全然違うとのことである。

 

流石は本場、即効性が違う。中国ノ薬ハ、ヨク効クヨの老人の言葉は、誠の言い伝えだったんだ。

 

もちこは軽く飛び跳ね、その度にぎゃっ!と小さく叫ぶ。なぜ痛いのが分かっているのに、飛び跳ねたりするんだ。

 

ただ明らかに具合も良さそうで、ホッと一息安心。これなら少し時間が経てば、いつも通りの旅の散策ができそうだ。

 

するともちこが、予定通り川下りしよう!と言い始める。確かに座っているだけの船の上なら、捻挫も関係ないものな。

 

とりあえず船着き場まで辿り着けば、あとは船から鳳凰を眺めるだけ。もちこの肩を掴み、大きめの石橋をゆっくりと渡っていこう。

 

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根性で辿り着いく、川下りのチケット販売所。サイズは小さいが、鳳凰の雰囲気を損なわない全体が木造で出来た建物だ。

 

そして中には女性が受付におり、沢山の人々を一人でさばいている。時に団体客様が訪れた場合、一気に忙しくなりそうな職場だなぁ。

 

外に張られた価格表を眺め、その相場をチェックする。きっと超観光地価格だろうと覚悟を決め、恐る恐る指差し確認だ。

 

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往復一人80元(約1.360円)

 

ほうほう…。まぁまぁなお値段だなぁ。

 

ただ想像よりお高くなく、平遥古城の入場料とそれほど相違ない。ここは笑顔で購入し、魚と同じ目線で鳳凰の夜景を堪能しよう。魚は水中だけど。

 

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早速お金を取り出し、受付の女性に二枚お願いする。すると私たちの日本語を聞き、彼女が突然尋ねてくる。

 

な、なんだろ…。まさか日本人には…売れないとか…?

 

夕方の一件以来、私はめちゃくちゃに心配性になってしまった。

 

ただもちこに訳してもらうと、全くそういう意味ではない。ただ純粋に、彼女は訪ねてくれているのだ。

 

日本から来たの?日本って綺麗なの? 

 

思わぬ質問に少し迷いつつ、もちこが予定調和的な回答を返す。まぁ綺麗だけど、この鳳凰の方が何倍も綺麗だよと。

 

するとどうやら彼女は東京に行きたいらしく、色々な質問を尋ねてくる。人々の暮らし方、道端の綺麗さ、トイレの使い勝手などなどを。

 

そして同時に、中国のトイレ事情を嘆き始める。なぜあれほど掃除がされず、衛生的でないのかと。

 

まぁ確かにこの国のトイレの衛生に関しては、ちょっと問題はあるかもしれない。ただ東京に住む私には、あまり自分の街の清潔さを気に掛ける機会は多くない。

 

やはり住んでいると見えなくなるだけで、日本は世界でも綺麗な国なんだろう。小さな感謝を忘れていたのかと、変なタイミングで複雑な気分になる。

 

本当に日本に憧れる。

 

そう言ってくれながら、受付の女性はお釣りとチケットを渡してくれる。私としてはこの鳳凰に住みたいが、人の感覚ってそれぞれだ。

 

お互いの国に良さもあれば、住んでいると気になることも沢山ある。なぜ山手線の全ホームに落下防止をつけないのだろうなど、数えればきりがない。

 

ただそう言った自国の良さを気付かせてくれるも、旅の魅力なんだろうなぁ。そんなことを考えつつ、川下りの最前列を陣取った。

 

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湯楽里ゆらりと動く、五船の観光船。この色彩のコントラスト、なんと最高な…。

 

どうやら五船が一斉に出発するらしく、船頭達がお仕事前のタバコをふかしている。まるでイカが釣れそうな提灯、風情凄まじいな。

 

さらに船には救命具も備えられ、落下体制もバッチリOK。確かにこの暗闇で川に落ちれば、鯉のご飯になること請け合いだ。

 

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救命具はあまりハイセンスではないものの、言われた通りに装着する。白人も黒人も、お爺ちゃんもお婆ちゃんも、みんな素直に装着するのだ。

 

近くでは屈強な従業員が装着を見守り、紐をぎゅっと引っ張ってくれる。そしてOK!的に背中を叩き、乗船を促してくれるのだ。

 

そして装着を終えた人々が一気に乗船し、木製の船が大きく傾く。ひ、1人づつだよ!と船頭さんも驚き、慌てて人々の乗船順位を決め始める。

 

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そして船の目線からの鳳凰は、もう至極。両サイドからの夜景に包まれながら、船で川の道をゆっくり通過するんだ…。

 

自分死んだんじゃ…と不謹慎な発言が飛び出るほど、脳裏に残る優艶な光景。もう20元くらい元を取った気がして、気分も最高潮だ。

 

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振り返ると、もちこのテンションもやんごとない。自身の捻挫を完全に忘れ、うおー!と謎の咆哮をあげる。

 

これは確かに、テンションがエラーを起こす。周囲の観光客も自分の言語で、凄い!イケてる!と大盛り上がりだ。 

 

そして船乗りの方が人数を数え、ノートにカリカリ記載する。どうやら船の出発も近いらしく、船が大きく揺れ始める。

 

すると船頭さんが長い木棒で船着き場を押し、私たちの船が最初に動き出す。一気に落ちてしまいそうなほど船も傾き、歓声と悲鳴が響き渡る。

 

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遂に出発だ。

 

これから約30分、この沱江を流れるように進んでくれるのか。そう思うと同時にゆったりとした民謡が流れ始め、船上の雰囲気が一変する。

 

まるで夢の中にいるような、幸福な30分間。この記憶はきっと将来の子供にも、無理やり10回は聞かせよう。

 

高ぶる心を落ち着かせながら、川沿いの街並みを一望する。昨晩と同じはずの街の光景は、平成の光景とは思えなかった。

 

そして同時に視界に飛び込んでくる、左上のオレンジの発光体。やはり先ほどのアレはUFOではなく、何かの建物なのだろう。

 

もし本当にUFOなら、あまりにのんびり屋さんだ。みんなにめっちゃ見つかってるよ!と、ひと声かけてあげたいものだ。

 

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