ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中国旅行記23 初めての超長距離移動と不安な杯化の寝台列車

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最終日、夜19時。

 

お迎えの車が来るまでの、あと1時間。お世話になったドミトリーの方々と、日本の話題で盛り上る。

 

鳳凰の人々が強く持つ、日本という国へのイメージ。私はそのイメージを、良い感じに書き換えられただろうか。

  

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鳳凰とのお別れと寝台列車への出発

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日本って知ってる?

 

そんな問いかけに対して、ドミトリーの子供たちはきょとん顔。何それ美味しいの?とお決まりのボケを交わしそうな、全く理解していない表情だ。

 

数多くの観光客を迎えているこのドミトリーでは、きっと日本人も多く宿泊したはず。ただそれでもなお、子供達は日本をあまり良く知らないらしい。

 

確かにこの鳳凰は、広大な中国でもかなり内陸部。最寄り駅から車約1時間、海外との直接的な接点は少ないのかもしれない。

 

ただ日本でもS級田舎出身の私は、君たち中国を存じ上げていたぞ。教科書にもバンバン登場したし、ジャッキーチェンの真似をして木から落下したこともある。

 

しかし彼らはあまり日本を知らず、聞いたことあるかも?といった雰囲気だ。あ、これも食べなきゃ…と、サラダに添えたプチトマト的な感じなのかも。

 

ということはやはり、地球単位で考えるべきか。子供たちにとって日本とは、小さな島国の一つに過ぎないんだ。

 

なるほどなるほど、常に自分の目線で物を考えるのは良くないな。自分にとっての日本と、彼ら鳳凰の子供たちの持つ日本のイメージが同じわけがないもの。

 

そう考えてふと見ると、なにやらPCでアニメを見ているようだ。あぁ私は、彼らの貴重なアニメタイムを邪魔してしまっていたのか。これは失敬。

 

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トトロだ。

 

それ日本のアニメじゃないか。カンタこっちめっちゃ見てるじゃない。

 

食い入るように画面を見つめ、熱心にストーリーを追う子供達。先ほどあげた5円玉は既に主役ではなく、ポケットに封印されてしまった。

 

え!?それ日本のアニメでしょ!?

 

そう告げながらトトロトトロ!と連発するものの、子供たちは何言ってんの?と、不思議そうな表情のまま。

 

どうやら中国ではトトロは龍貓(ロンマオ)というらしく、トトロという名にあまり耳馴染みはないらしい。トトロの真似をして傘を持ち上げるアクションをして、やっと笑ってくれる感じである。

 

なんだ、おじさん安心したよ。日本と鳳凰に繋がりを感じて、なんだか嬉しい。誰がおじさんだ。

 

しかし画面のメイちゃんは、映画の中で何度もトトロと連発するだろうに。それでもやっぱりトトロじゃ伝わらないのか。

 

そんな話をしていると、ドミトリーの方々が続々周囲に集まってくる。どうやら子供たちにあげた日本の硬貨が珍しいらしく、そのデザインをガン見している。

 

ほうほう。やはりこの国の人々は、硬貨もデザインに注目が集まるのか。流石は芸術に長けたお国柄である。

 

確かに芸大出身の友人とご飯を食べに行った時、料理の盛り方を絶賛していたな。このブロッコリーと卵の色合いがすごくいい!とか、そんな感じで。

 

私も母国の硬貨を褒められ、何だか嬉しくなってしまう。じゃあ次は、日本のお札を取り出して、そのデザインを褒めていただこうかな。

 

そう思ってお札を見せると、一人の男性がおおおお!!と身を乗り出してくる。ちなみにその興味の対象が、デザインなのかお金自体に対してかは不明である。

 

しかしその男性の興味レベルが、あまりに高い。いいなあこれ!偉そうな人が、透かしで入ってるよ!?と、もう興奮が冷めやらない。

 

ただふと考える。彼はもしかして1000という数字に反応しているのではないかと。

 

確かにこの中国で1000元(約17.000円)と言えば、かなりの高額。そして彼は、もしかしてもっと高額なのでは!?と考えている可能性はないだろうか。(こらっ)

 

しかしその方は、かなり大人しそうな雰囲気である。がつがつ貪欲にお金に執着するような、そんなタイプには到底見えない。

 

さらに彼は、いつもドミトリーで会うと最初に挨拶をしてくれる。むちゃくちゃに温和で優しい、笑顔の持ち主なのだ。

 

そのためきっと彼は純粋に、異国の紙幣デザインに惚れているのだろう。見たこともない異国のお札のデザインを、心底気に入ってくれているに違いない。

 

そう考えていると相方もちこが、それ差し上げたら?とアドバイスをくれる。あぁ、確かにこの流れなら、お礼に金銭をあげるという感じはしないかな?

 

ただ純粋に、気に入った日本の物を差し上げる感覚で受け取っていただける。それならばお金を差し上げるという、少し受け取りにくい感じも少ないだろう。

 

そう考えてお札を眺める男性に、良かったらどうぞ!と声をかける。すると彼はトトロ並みの巨大な瞳で、猛烈に驚く。

 

彼:えええ!?い、いいの!?これお金だよね!?1000…エンだよね…!?

 

もちこ:良いんです良いんです!本当にお世話になったし、そんなに高額なものでもないから!

 

彼:い、いやでも!こんなにも高額なもの受け取れないよ!だって1000…エンでしょ…!?

 

私:いやいや!1000円って60元くらいですから!全然大したことない金額ですから!

 

 

…。

あ。これはあかん。

 

今朝ドミトリーの店長は5元を稼ぐために、あんなにも一生懸命頑張っていたのに。60元を大したことない金額と言ってしまう私は、本当にあかん。

 

私は慌ててもちこに言い直してもらい、本当にお世話になったから!とフォローしてもらう。しかしそれでも彼は遠慮がすごく、なんだかこちらも意地になってくる。

 

彼:じ、じゃあ100元払うから!それで貰ってもいいかな!

 

私:い、いや私ちょっと得してます!!その100元で、みんなで美味しいもの食べて下さいよ!

 

背後にダチョウ倶楽部が見えるような、異国間の譲り合いバトル。ただ純粋なプレゼントのはずが、築地のセリみたいになってきた。

 

これはあかん。早くしないと次男が僕も欲しい…とか、言い出すに決まっている。早急に決着をつけないと、帰国後成田から自宅に帰れなくなる危険すら出てきた。※現金残り4000円。

 

そしてそんなこんなで、5分後。

 

彼はなんとか1000円札を受け取ってくれる。最後はラップバトルの様にハグを交わし、なかなかに白熱したバトルだった。

 

まさかこんなにも彼らが喜んでくれるとは、思いもしなかった。ただこれほど喜んでくれて、本当に良かった。

 

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ドミトリーとのお別れと懐化への出発 

 

そしてついに、迎えの自動車が到着する。ドミトリーの女性店長が、私たちを呼びに来てくれたのだ。

 

私たちは皆様に深く感謝を申し上げ、そして手を振る子供たちに手を振り返す。再見(サイチェン)!と言ってはみたものの、きっと次に会えるのは十年近く先になるだろう。

 

その時、子供たちはまだ5円玉を持っていてくれるだろうか。私も彼らも結構な年齢になっていることだし、次はジャパニーズSAKEでも飲み交わそう。

 

久しぶりに担ぐ20キロのリュックはとても重く、忘れていたバックパッカー感が溢れてくる。じゃあ今度こそ、次の目的地に出発だ。

 

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