中国旅行記5 映画の様な平遥古城の夕刻と散財ナイト
夜の香りが立ち込める、夕刻の平遥古城。
バイクから眺めるその光景は、まるで別世界。
少し寒く心地良い、笑顔溢れる古城内。それは本格的な中国を楽しめる、まさに100点の夜だった。
これは遅めの夏休みを使った、2週間の中国旅行記。皆様に少しでもお楽しみいただければ、最高に幸せです!
舗装の整った石畳を、快適バイクで爆走する。一度通った街並みも、繰り返し何度も往復できる。
いくら進んでも疲れない、鉄壁の移動手段。スライドショーのように流れる光景を、ただひたすら楽しむだけ。
あぁ、何て楽なんだろう。これが忘れていた文明の利器か。
遠くに魅惑の場所が見えれば、50元の愛車で直行する。この広大な平遥古城で、この移動手段は最強だ。
手を伸ばすと人に当たる都内と違う、牛車が往来する平遥古城。その空間をブイブイ進めば、気分はまさにソニック&テイルズである。
低速で進みながら通りのお店を眺め、夜に行こうか!と後部座席のもちこに話しかける。ヘルメットしてないから、事故ったら死ぬね!と、後ろから笑い声が聞こえる。
吹き抜ける風で、会話が全然噛み合わない。しかしそれでも歩かなくて良い観光は、まるでマハラジャ気分だ。
では早速、城壁周囲に広がる現地の生活を覗きに行こう。今も炭鉱石を活用する生活とは、一体どんな世界なんだろ。
きっと屈強な男たちが、真っ黒な石をもりもり掘ってるんだ。そしてそれを鉄のつるはしで叩き割り、トラックや手車に放り込むんだ。
さらにその男性の隣には、寄り添うように愛犬が歩いてる。そんな光景こそ、私が想像する炭鉱街のイメージだ。
そんな訳ないよ!と笑う相方を乗せ、バイクをブイブイ走らせる。すると次第に観光客も少なくなり、直ぐに城壁の周辺に辿り着く。
もりもり掘っている。
マイクラの様な炭鉱石が、道路に山積みにされている。これぞまさに、私が炭鉱町に期待していた光景だ。
炭鉱石を乗せたトラックにパッシングされ、バイクを降りて近くで眺める。炭鉱石の山にカメラを合わせると、現地のお婆ちゃんもピースしてくれる。
小学生の頃に破って怒られた、ホッカイロのような焦げた香り。そう言われれば確かに、昨晩も今朝も、ちょっと街は煙たかったような…。
住宅の隣に、薪のように積まれている炭鉱石。つまり飾りではなく、夜には燃料としてスタメン起用されているらしい。
あぁ昨晩の街の煙たさの原因は、これだったのか。この石炭が燃やされた時の、煙が街を覆っていたのか。
恐らくこの古城では、まだまだ炭鉱石が主役なんだ。いきなりグッとくるギャップ萌え、さぁどんどん進んでいこう。
山盛り野菜をトラックで売り歩く、現地のおじちゃん。さすがに私達には声をかけないが、通りすがりのお婆ちゃんを勧誘している。
そのネギが真っ黒なのは、炭鉱石と一緒に運んじゃったからかな。いやもしかして、炭鉱ネギ的な栄養価の凄いタイプなのかもしれない。
さらに奥に行くと観光客もほとんどおらず、通りには現地感が溢れだす。その建物の上部には、炭鉱石用の煙突も備え付けられている。
そこに干したら絶対煙たくなるよ!と、思わず助言をしたくなる光景だ。楽しい旅の御礼に、ファブリーズでも置いておこうかと考えてしまう。
そして石の壁には、日用雑貨店らしきお店。お酒やパンやお菓子など、まるで小さなコンビニだ。
ただ唯一分からないのが、そのお店の入り口。この壁の中のお店には、一体どうやって入るのだろう。
付近には全く入口が見当たらず、妄想も加速する。もしかするとドライブスルー的に、この小窓から注文するのかな。
さらに城内と住宅地域の境界には、車両乗り入れ禁止の鉄格子。つまり中心の観光地域に入るなら、一度バイクをどこかに停めなくちゃいけないのか。
しかし現地のおばちゃんは、根性でバイクを持ち上げ中に入る。私は誰にも止められない!と言わんばかりに、ずいずい乗り込む。
強い。このバイク、結構な重さなんだけどな。
そして通りには電信柱も三階以上の建物もなく、街と青空がくっきり二分されている。
確かにこの街に生まれたら、高い美術センスも磨かれるかもしれない。
見慣れぬ世界をゆっくり眺め、バイクでスススと通り過ぎる。そしてのったり速度で走行すれば、現地のワンコも並走する。
慌てて避けると、逆サイドからは別の犬も飛び出してくる。インベーダーゲームのように、ひっきりなしに何かが脅かしてくれるのだ。
あぁ、最高に楽しい。この勢いで、平遥古城の名所を全部回ろう。おばちゃんへの返却時間まで、あと優に6時間はあるから。
そうだ!次は古城を一望できる、城壁展望台に向かおう。
そして世界遺産を一望し、インスタ映えする会心の写真を撮ろう。SNOWを使えば、もしかしたらキラピカな街並みが撮れるかも。
そう考えて、再度レンタルバイクに乗り込む。見た目は自転車、だが気分はハーレー乗りである。でも、見た目は自転車。
じゃあまず売り場で、城壁展望台の入場券を購入しなくては。ぶっちゃけ結構高額らしいけれども、全然気にしない。
ただこれが、意外と遠い。一度城外に出てから、ぐるっと城壁に沿って迂回しなければならない。
ただそれも、今なら快適ひとっ飛び。一度通った街並みを眺めながら、バイクでブイブイ戻るだけのお仕事だ。
荷物を背負い、もう一度バイクにまたがる。そして冷たい風を感じながら、古城南のチケット売り場へ。
道中では同じくバイクをレンタルした、中国人カップルとすれ違う。明らかに最新バイクにまたがる彼らは、確実にどや顔だ。
…速そうだなぁ。隣の芝生は、綺麗に見えてしまう。
少し敗北感を感じながら、おばちゃんの愛車でチケット売り場を目指す。すると見取り図通り、古風で大きな販売所が用意されている。
~旅の続きは電子書籍で!~
第5話のお試し読みは、こちらまで。
宜しければオフラインで一気に読める、電子書籍はいかがですか?
キンドル読み放題対応ですので、是非ご覧下さい!
※iphone・アンドロイド端末でも、Kindleアプリでお読みいただけます!
~WEB版はこちらから!~