ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中国旅行記7 鄭州東の最新ホテルと桂林の最高ドミトリー

大都市鄭州東の最新ホテルと、桂林の最高ドミトリー

 

突如訪れた、体の悪寒。その正体は風邪か、はたまた謎の胃腸破壊か。

 

すこぶる健康な体に訪れる、未知の体調変化。まだ旅は序盤だというのに、なぜこのタイミングで…。

 

 

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謎の体調不良と大都市鄭州東

寒気の体調不良と大都市鄭州東

 

15時34分。

 

西安北で約4時間ほど時間を過ごし、次の鄭州東行きの新幹線に乗り込む。すると何かの祝日だったのか、車内は多数の乗客で溢れている。

 

体は相変わらず寒気に包まれ、モコモコの服装で狭い通路を移動する。早朝の極寒リンタクのおかげなのか、体は俗にいう絶不調だ。

 

しかし、そんなことは周囲の方々には関係なし。足元では中国の子供様が走り回り、握りしめているお菓子が、私の膝元でクラッシュする。

 

そして前方からは子供らしき声と共に、アニメの爆音が鳴り響いく。鄭州東までの約2時間、どうやら今回も様々な騒音と同席らしい。

 

なんという、騒音。まさに学級崩壊である。

 

さらに後ろの席には、大爆笑するおばちゃん・おじちゃん6人組。きっと町内会か同窓会で、皆で仲良く旅行しているのだろう。

 

そして中には、一人とびきり特徴的な笑い方の女性がいらっしゃる。んはははは!!と響く笑い声で、思わず釣られて笑いそうだ。

 

そんな車内の様子を眺めながら、自分たちの席を発見する。そして大きなリュックを根性で棚に乗せ、完全治癒モードへ移行する。

 

集中しろ…。笑い声につられるな…。

 

ここからは約束通り、最短時間でこの体調不良を治してみせよう。そして何事もなかったように、次の最強観光地を目指そうではないか。

 

その観光地の名前は、桂林

 

これぞ絶対に100点の体調で挑みたい、自然溢れる超景観スポットだ。

 

巨大な大自然を眺めながら、極めてゆっくり河をくだる。まるで水墨画の世界だと言われる、ワクワクが止まらないと噂の街。

 

この平成に仙人の存在を疑ってしまう、切り立った崖と優艶な風景美。抱えきれない思い出を与えてくれる、最強観光地・桂林。

 

そんな目的地に、こんな体調不良などいたって不要。俗にいう何が何でも、この不調の原因を排除する必要がある。

 

そんな想いから周囲への興味を押し殺し、体を徹底敵に休ませる。これが普通の風邪ならば、丸1日で治せることも全然ある。

 

そしてその桂林への到着は明日の昼、そして本格的な観光は明後日だ。つまり今から丸2日も余裕があり、全く簡単なお仕事なんだ。

 

西安で売られていた林檎

 

するともちこから林檎は医者いらずだよ!と、小さなリンゴを受け取る。確かに祖母もそんなことを言っていたし、何とも最適なタイミングだ。

 

ありがたく林檎を頂戴し、ガジガジ齧る。体調不良時は、無理にでも食べまくる派だから。

 

隣の子供が欲しそうに見ているが、ごめんね、あげられない。もしかしたら君も、謎の悪寒に襲われちゃうかもしれないから。

 

売店で買ったリンゴは大変甘く、まだ美味しい!と感じられる。さっぱりとしているからか、ペロリと余裕だ。

 

しかし…。この食欲と正常な味覚にもかかわらず、なぜこんなに風邪っぽい雰囲気なのだろう。

更に分析すると、特に頭痛も腹痛も、咳も鼻水もナッシング。ただ感じるのは、体のだるさと胃腸の不快感だけ。

 

ただ今はリクライニングを倒し、ゆっくり眠るしか方法はない。ビタミンCを再度2000㎎ぱくりと食べ、耳せん替わりのイヤホンを装着しよう。

 

しかしそれでも余裕で貫通してくる、アニメの爆音。ただ周囲の騒音に包まれていると、不思議と気分も穏やかになる。

 

もしかして騒がしいスクランブル交差点って、良く寝れるのかもしれないな。

 

そんなことを考えていると、2時間はあっという間に過ぎていく。まさかこの騒がしさが心地良いなんて、思いもしなかった。

 

17時47分。

 

新幹線はあっという間に、本日の宿泊都市である鄭州東に到着する。

 

外は平遥古城ほど寒くはなく、悪寒も少し和らいでいる。ただそれでも少しだるく、本当に風邪なのかちょっと疑問だ。

 

ただ先ほどのビタミンCがむちゃくちゃ効いて、速攻治った可能性もなくはない。もしそうならば、この度の風邪合戦は私の完全勝利である。

 

鄭州東駅

 

まぁ大丈夫っしょ!

 

OKサインを出す、相方もちこ。確かに寒気もさほどじゃないし、風邪らしい症状はほぼ消えているかな。

 

しかもここは、初めて訪れるおニューの都市。ここは早速、この鄭州東を心行くまで散策してみよう。

 

ただ流石にこの時間になると、もちこも空腹ペコペコ。私の胃腸不良にお付き合いいただき、誠に申し訳ない。

 

鄭州東駅前の綺麗な光景

 

わずか半日のみの滞在場所だが、非常に大きいこの鄭州東。まるで横浜駅と品川駅の子供のような、とても綺麗な駅である。

 

床は顔が反射するほど磨き上げられ、人々の服装もなんだか華やかだ。ここは今までの駅の中でも、大きな街の部類なのだろう。

 

鄭州東駅前の綺麗な光景

 

まるで未来都市のような蛍光の蒼曲線で彩られた、駅の大広間。そこら中にスケボー少年が滑走し、活気溢れる街並みに溶け込んでいる。

 

しかし飛行機が着陸できるほどの、この広さ。きっとこの駅前は、多数の迷子者を生み出したに違いない。

 

もしこの街で生まれたら、確実にここで10回は迷子になったはず。そもそも子供なら、この蛍光色を追いかけてどこまでも歩いて行っちゃう。

 

鄭州東駅前の綺麗な光景

 

さらに駅から眺める街並みは、全体的にぼんやりと靄がかかっている。まるで広大な森から、巨大な電灯きのこが生えているような光景だ。

 

でもなぜ、これほど広大な駅前にしちゃったのだろう。駅前からタクシーに乗っても、街に出るまでワンメーター加算されそうだ。

 

そして逆に最寄りの大通りでおろされても、駅までめちゃ歩かなきゃいけない。もはや息切れ必須の、ちょっとしたジョギングコースじゃない。

 

鄭州東駅前の綺麗な光景

 

ただ煌びやかな曲線は非常に美しく、皆が一様に写真を撮る。どの角度から撮れば一番映えるのか、インスタ映えでも狙っているのだろうか。

 

私もカメラを構えるが、なかなかその美しさを写真に納められない。やっぱり綺麗な光景って、目が最強なんだなぁ。

 

長蛇の出来る中国タクシー事情

 

街の光景に興奮していると、なんだかどっと疲れてきた。ここは早めに本日のホテルを探し、打倒風邪の続きをしよう。

 

事前に印刷したホテルまでの地図を開き、スマホで明るく照らしてみる。するとホテルは意外と遠く、歩くと15分はかかるらしい。

 

15分か…。歩くと結構きつそうだけど、タクシーならば速攻だなぁ。

 

ただ駅前のタクシー乗り場には、100m近くの長蛇の列。この列を並ぶとなると、恐らく30分はかかるだろう。

 

うむ…。これは悩みどころだ。

一刻も早くホテルにつきたいが、並ぶべきか歩くべきか…。

 

 

さらにこの中国では、もう一つ気にすべきことが。それはタクシーに乗る際、近いと断られるという、誠に悲しい事実である。

 

まず最初に、中国のタクシーは大変お安い。1回15元(約255円)円程度から使える、抜群のお手軽感が特徴だ。

 

しかしその反面、彼らタクシー運転手の方々の地位は高い。安いんだから嫌なら別の乗りなよと、結構サクッと断られてしまう。

 

時には行き先を告げると、無言でフリーズすることがある。その時は『行きたくないのかな?』と、察してあげよう。

 

私もこの旅で何度か断られており、この街でもきっと同じ。確かにお稼ぎスポットの駅前で、歩いて15分のお客を取りたくないはずだ。

 

さらにもし30分並んで断られたら、どえらいショックだ。そう考えると根性で歩くか、流しのタクシーを捕まえる方がお利口さんかもしれない。

 

そう考えて覚悟を決め、荷物を再度背負い込む。そしてグーグル先生(ぽいもの)になびされつつ、鄭州東の街を歩き始める。

 

鄭州東の散策とホテルまでの道のり

 

ふぅ…へぇ…。

はぁ…ふえぇ…。(頑張ってる)

 

風邪(?)で歩行スピードの劣る私は、まさにお荷物。途中何度も相方に心配されつつも、よろよろ歩みを進める。

 

これが戦争映画なら、私を置いていけとか言うべきなんだろうなぁ…。めっちゃ振り返らせちゃってるし…。

 

荷物持とうか?と優しく言ってくれるもの、さすがにそれは申し訳ない。約20kgの荷物が二個になれば、もちこはきっとぺちゃんこだ。

 

さらには神のいたずらか、流しのタクシーも全くいない。偶然見つけても、高速で過ぎ去るか乗車済みである。

 

さらに地図ではホテルまで約15分との表記にもかかわらず、明らかに30分は歩いている。これは飲み屋などで散見される、駅徒歩1分!の虚偽表示の一種なのか…。

 

途中で何度も心が折れかけるが、まだ見ぬホテルによじよじ進む。もしここで雨など降れば、泣いちゃったかもしれない。

 

 

しかしもちこが言うには、今日のホテルは一番良い場所とのこと。もはや普通の旅行と変わらぬ、めちゃくちゃナイスなホテルらしい。

 

その驚きの価格は、まさかの一泊8.000円(二人)。それは平遥古城ホテルの約5倍、まるでお祝いに使うような高額ホテルだ。

 

まじか!とテンションも高騰し、力も俄然みなぎってくる。この風邪気味(?)の体を治すには、まさに最高の場所じゃないか。

 

しかしこれでまたしても、私達が偽バックパッカーだと裏付けられてしまった。一泊8.000円ともなれば、それはもうただの旅行だ。

 

ただ今はそんなことは言ってられない。まだ見ぬホテルに向かい、ひたすら足を交互に出すだけだ。

 

鄭州東の巨大免税店
鄭州東の巨大免税店
鄭州東の巨大免税店

 

そして途中の道端で、閑散とした巨大免税店を発見する。それはちょっと見てみよかな?という、もちこの道草の成果である。

 

ただなぜか人はほとんどおらず、まるで核戦争後の地下施設。白髪の男性が閉じ込められていそうな、無駄に巨大な空間である。

 

そんなことも気にせず、もちこはお店に突撃する。ちょっと見てくるね!と言いながら、どうやらお目当てのものがあるようだ。

 

しかし心に余裕が出来た今、そんなぶらり旅にも付きあっちゃおう。だって今日のホテル、8000円だもん。

 

もしかしたら念願だった、コンタクトの保存液ヘアスプレーもあるかもしれない。いや日本の製品の表記もチラリと見えたし、ここにならきっとあるに違いない。

 

荷物と共に、もちこを待つこと約10分。彼女は韓国のりと共に戻って来た。

 

なぜ韓国のり…。風邪薬ちゃうんか…。

 

愕然とした気持ちを隠しつつ、私たちは再度歩き出す。どうやら地図上では、あと数分で本日のホテルに辿り着くはずだから。

 

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最高値の鄭州東a LOFTホテル

最高値の鄭州東a LOFTホテル

 

そして到着する本日のホテル、a LOFT。今までとは明らかに雰囲気の違う、横文字のオシャンティーホテルだ。

 

しつこいようだが、お値段も一泊8000円。恐らく本物のバックパッカー達が、利用することはないだろう。

 

しかし本当に疲れた今、この豪華さはとても有難い。う〇こ座りすら重労働の、ボロボロの私には。

 

ホテルの中も大変綺麗で、平遥の様に野良犬に吠えられることも勿論なし。さらに受付では英語も使え、朝にはビュッフェなるものも頂けるらしい。

 

ただし私たちは、もちろん最安の素泊まりコース。快適な寝床を借りるだけの、最もベーシックな契約内容だ。

 

なぜならここは旅の目的地ではなく、あくまでも中継地点。明日の桂林に向けて一晩泊まるだけの、一晩限りの関係なのだ。

 

ただもう時刻は、既に20時過ぎ。本日のご予定は、ご飯を食べて眠るだけだ。

 

まずはホテルの周囲を散策し、本日のご飯を購入しよう。さらに明日のご飯も、できれば格安で手に入れたいものだ。

 

鄭州東の激安お粥店

 

そう考えて周囲を散策するものの、さすが高級ホテル周辺。一食300元と書かれたコースメニューや、30元珈琲が軒を連ねる。

 

一杯30元(約510円)…。一体、何が入っているんだ。

 

それこそバケツサイズじゃないと納得できない。いやバケツサイズの珈琲が出されても、逆に困るけど。

 

これからの長旅を考えても、流石にこの価格では妥協はできない。逆に300元(約5.100円)の食事に体が慣れたら、それこそ大変だ。

 

平遥古城で堪能した一杯12元の刀削麺にも、きっと戻れなくなる。そう考えると、やはりここは低価格で美味しいものを探すべきなんだ。

 

 

ご飯、ご飯…。お安いご飯はいねぇか…。

 

お安いご飯を探すため、ホテルの周りをなまはげの様に闊歩する。すると近くの通りに、ジモティ行きつけと思われるお店が目に入る。

 

鄭州東の激安お粥店

 

粥〇〇〇米飯。

 

もう色々と読めないが、きっと炭水化物が沢山ありそうな店名だ。さらに看板には小籠包・粥と書かれているし、低価格っぽい雰囲気をすごく感じる。

 

しかしあまりにジモティ過ぎて、逆に不安だ。周囲には一食300元のお店があるのに、このお店はどうやって対抗しているんだろ。

 

こういうお店って、ほら…あの…。

入れ墨だらけのおじさん達が、なんかの取引をしているとか…。

 

そんな不安をもちこに伝えると、何言ってんだと冷え切った目線で睨まれる。さらに風邪っぽいんだからお粥でしょ!と、問答無用で店内に突撃する。

 

鄭州東の激安お粥店
 

あら、良い感じ。

 

中に入ると、意外にも超絶フレンドリー。店主の親父さんもタバコを吸いつつ、よく来たね!とめっちゃ笑顔だ。

 

奥さんも備え付けのテレビを見ながら、かなりご機嫌。もしかして一泊くらいさせてくれそうな、結構な愛想レベルである。

 

さらに驚くべきは、その価格。上に掲げられた料金表を見て、思わず声をあげてしまう。

 

鄭州東の激安お粥店

 

一桁…。

 

どこからどうみても、全ての料金が一桁である。さらに一番高い商品ですら、5元(約85円)という凄まじい感謝価格だ。

 

ナンダココハ…。なぜこの料金で成り立っているんだ…。

 

先ほど駅で購入したミネラルウオーターですら、7元もしたのに。それより安くできるなんて、お粥が湧き出る壺でも持ってるのか。

 

鄭州東の激安お粥店

 

早速もちこがカボチャのお粥を購入し、おばちゃんに5元を手渡す。するとおばちゃんは直ぐさま、マックシェイク的な容器に入れてくれた。

 

シャカシャカ…。カポポポ…。はい、お待たせっ!(わずか10秒)

 

早い。

 

さすがは速度の国だ。ルール違反なこの低価格は、この提供速度が理由なのか。

 

もちこもカボチャ粥を受け取り、大変ニッコリ。関係ないけど、カボチャって女性にすごくモテてる気がする。

 

奥さんとおやじさんにまた来てね!と言われ、拙い中国語で再见面と告げる。ちなみにホッカホカのカボチャ粥は、ホッカイロ代わりとしても最高だ。

 

鄭州東のスーパーマーケット

 

さらに低価格の味を占め、とことん節約することに。今夜は一切外食せず、ホテルでお部屋飯を楽しもう。

 

そう考えて次に、Dennis Fresh Martに突撃する。ここも先ほどのお粥店と同じく、路地奥のお店だ。

 

鄭州東のスーパーマーケット

 

ここはいわば、現地のダイエー。やはり価格は全体的にお安く、欲しい物も沢山ある。

 

これからの旅にも欠かせない、歯磨きやマスク。さらには明日の朝ごはんとして、お安いバナナも大量買いしておこう。

 

さらにもちこの目を盗んでお酒コーナーに向かうが、すぐ捕獲される。同時にその体調でビールを飲むバカはいないと、大変な正論を頂戴する。

 

しかし…。

 

確かにお昼ごろから、食欲があまりない。普段はすこぶる食欲小僧なのだが、この症状は一体何なんだろう。

 

これはもしや…と思いながら、商品をカゴに入れる。ただの風邪に違いない、そう自分に言い聞かせながら。

 

そしてもちこにアイスの購入許可をもらい、溶けないうちにホテルへ戻る。しかし晩御飯を持ち帰る瞬間は、何故これほど胸が高鳴るのだろう。

 

・カボチャのお粥  5元(約85円)

・バナナ3本    5元(約85円)

・おつまみおしんこ 1個1元(約17円)

・チョコアイス   6元(約102円)

 

a-LOFTの綺麗な室内

 

早速ホテルに戻り、お楽しみのお部屋チェックを開始する。なんたって今日のお宿は、泣く子も黙る1泊8.000円だもの。(しつこい)

 

すると明らかに今までとは違う、豪奢なアメニティたち。持って帰ってね!と言わんばかりの、圧巻の品揃えだ。

 

さらに昨日までの様に、隣の部屋から奇声が聞こえることもない。あぁ世界って、こんなにも静かだったんだ。

 

時間があるなら、啤酒でも飲みながらゆっくりテレビに興じたい。ただ本日は、大人しく体を休めることに徹しよう。

 

a-LOFTの綺麗な室内

 

久しくご無沙汰していた、ぺかペかのシャワールーム。お湯の15分縛りもなく、日本以来の使い放題に気分も最高。

 

さらにトイレもお尻丸出しの和式ではなく、ウォシュレット付きの最新型。あまりに快適過ぎて、これからの安宿生活がすごく不安だ。

 

いい。日本の私の部屋の、5倍いい。

 

そして一通り部屋を吟味した次は、お楽しみの始まりだ。そそくさと買い物袋をベットに広げ、開封の儀を開始する。

 

a-LOFTの綺麗な室内

 

バナナとアイス。

 

まるでマラソンの給水場のような、こちらのふたつ。10元(約170円)で購入した、私の晩御飯だ。

 

世界共通の鉄板テイスト、甘くて消化に良いバナナ。さらには有名メーカーネスレが販売する、大好物の冷たいチョコアイス。

 

私はひたすら、これらをゆっくりと頬張る。まるで断食後の回復食のように、しっかり丁寧に補給する。

 

 

しかし…。

 

なぜこれほど、質素な晩御飯を選択したのか。せっかくの素敵ホテルで、何故乾杯の一つもしないのか。

  

答えは単純。それは私たちが最も恐れていた、あの胃腸破壊である。

 

旅の前半でもちこが悩まされた、謎の奇病。吐き気や腹痛などは一切ないにもかかわらず、胃腸が全く機能しない。

 

そしてその症状が、今私にも現れている。もはや疑いようがなく、完全一致の症状が。

 

地獄の三日間と揶揄される、スープだけしか飲めない恐怖の期間。胃腸破壊に罹患した者が強制される、あの治療が私にも求められている。

 

もはや疑う余地のない、完全な消化不調。全ての食べ物は私の体を通過し、消化されることなく排出されている。

 

これぞもちこ、そしてもちこの旅パートナーが罹患した、あの症状。もう自分自身を誤魔化すこともできないほど、完全に症状が一致しているのだ。

 

本日の昼に感じた風邪の症状は、恐らく完璧に完治した。きっと大量のビタミンC投与と、初動対応の賜物だろう。

 

しかしなお今私の胃袋を包む、圧倒的な無力感。まるで田舎の商店街のような、消化系の閉店ガラガラ状態だ。

 

もはや食欲などかけらもなく、ただ胃腸の不快感と猛烈な下痢だけが襲い来る。しかし腹痛は一切無く、消化器官が完全に機能していないのを実感する。

 

 

私はバナナを頬張りながら、そのことをもちこに報告する。何か私も胃腸ぶっ壊れちゃったみたい(てへぺろ)的に。

 

するとほ、ほらぁ!ともちこに本気で怒られ、その原因を追究される。ジュースの回し飲みや買い食いのシェアなど、あらゆる点を言及された。

 

挙句の果てには同じ目薬を使ったからだ!と、コアな理論も展開される。いやいや、おめめ関係ないでしょ。

 

しかし何も言い返すことも出来ず、ただただ謝罪を申し上げる。まさか本当にこの症状が、私にも訪れるとは思わなかったのだ。

 

 

ただ、これはやばい。

体調は悪くないにもかかわらず、これほど胃腸が不快だとは思わなかった。

 

もう胃袋の中で、終始KFCの食べ放題が開催されているようなもの。さらにそこに大学生が、ドミノピザを持ち込んだような感覚だ。

 

そんな例え話をしていると、もちこがせっせと電気を消し始める。まだ9時にもかかわらず、速攻寝なさい!と布団に押し込められる。

 

歯とか磨いてない!と言うと、歯磨き粉の付いた歯ブラシを手渡される。まさか夜の9時に寝させられるなんて、中学生以来だ。

 

 

ただここは、素直にいうことを聞いておこう。なぜなら次の街桂林では、美味しいご飯が待ち受けているんだ。

 

この旅で最も楽しみにしている街でもあり、絶対に100点の体調で臨みたい。だから布団に潜り込み、大人しく就寝することにしよう。

 

すると疲れていることもあり、意外と睡魔は早く訪れる。そしてもちこと話をしていると、段々と眠たくなってきた。

 

真っ暗な部屋に響く、パリパリという音。それはもちこが韓国のりを食べる音だった。

 

早朝の桂林出発と美味しい白湯 

 

早朝5時。

 

まだ真っ暗な部屋で、荷物のパッキングを始める。本日の予定は、7時48分発の桂林行き新幹線からスタートだ。

 

全く満喫できなかった部屋に別れを告げ、ホテルの受付でタクシーを依頼する。するとあまりに早朝のため、ホテルのタクシーが手配できないと言われてしまう。

 

え!?タクシーないの!?

 

そう聞き返すと、受付の女性は申し訳なさそうに繰り返す。この時間に依頼すると、結構嫌がられるんだと。

 

しかしこの寒空に駅まで歩く30分は、まさに地獄。食い下がるもちこは、受付女性に再度丁寧にお願いしてくれる。

 

あの人、体調悪いんです!ヘロヘロなんです!

 

受付女性に訴えながら、私にも体調悪そうにして!と日本語で叫ぶ。しかし演技などは一切不要、私は誰よりもヘロヘロだった。

 

するとじゃあ個人的に頼んであげるね!と、受付女性は優しさを見せてくれる。不快な胃腸にじんわりと沁みこむ、何とも天晴な優しさだ。

 

早朝の鄭州東

 

そして早朝の街を、音速タクシーで吹っ飛ばす。朝の道は大変空いており、まさにF=ZERO並みの爽快感だ。

 

タクシーの運転手はとても若く、車も最新の海外車。さらに値段も通常の価格で、朝からなんだか得した気分。

 

でもこの車、さっきまで彼女乗せてたでしょ。女性のリップ、助手席に落ちてるよ。

 

・鄭州東駅までのタクシー 約20元(約340円)

 

早朝の鄭州東

 

昨晩とうって変わり、朝の駅は非常に静か。きっと早すぎる時間のせいで、構内には掃除のおじちゃんで溢れている。

 

さらに静かに流れる中国風の音楽で、心も胃腸も少し楽に。昨晩の不快感に比べたら、幾分かマシだ。

 

 

そして本日の予定は、桂林に無事到着すること。さらにはこの停止した胃腸を、何とかフル稼働させることだ。

 

つまりそのために必要なのは、体力回復温度管理。さらには謎の奇病と戦うための、武器・防具が必要だ。

 

早朝の鄭州東

 

まずは駅でお湯を入れ、大好きな白湯を作る。こちらは仕事の朝にも愛飲する、大変お気に入りの無味ドリンクだ。

 

さらにもちこも荷物を私の周囲に置き、ポカリ探しに旅立ってくれる。まさか逆にポカリを求める日が来ようとは、夢にも思わなかった。

 

ただポカリは見当たらず、それっぽい水色のドリンクを頂戴する。しかしその味は少し甘いながらも、ポカリのそれに良く似ていた。

 

早朝の鄭州東

 

そしておとなしく待つこと、約1時間半。私たちは7時48分発の新幹線へと乗り込む。

 

桂林への到着は15時9分、本日は約7時間の長距離移動か…。ただもう4回目の新幹線だけど、何回乗ってもワクワクしちゃうな。

 

そして乗車するや否や、車内のお湯汲み場所を確認する。この7時間で胃腸を治すためには、暖かな白湯は必要不可欠だ。

 

桂林行の新幹線車内

 

さらにもちこは、昨晩のカボチャのお粥をモリモリ食べ始める。見た目もしっかりカボチャ色であり、何度見ても5元(約85円)とは思えない。

 

ただ、一口食べるともちこが止まる。そして同時に尋ねてくる。こんな味ないことある?と。

 

おお、すごいしかめっ面だ。そんなに不味そうに食べなくても。 

 

それはもはや、完全なる無味。お醤油が欲しくなる、まるで水のような味らしい。

 

この中国ではどうやら、スープだけではなくお粥も無味のようである。しかしこんなに立派なカボチャ色なのに、カボチャはどこに遊びに行っちゃったのだろう。

 

しかし、私の朝ご飯はお湯。そしておそらく、お昼も夜もお湯なんだ。

 

この悔しさをバネに、私は桂林を食べ尽くします!そんな意気込みを笑いながら、7時間の長距離移動は過ぎていく。

 

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桂林到着と勝手に震えるタクシー移動

桂林駅

 

15時9分。

 

新幹線は私たちを乗せ、予定通り桂林駅に到着してくれる。そしてホームに降りると、その広大さに圧倒される。

 

広い。なぜいつも、こんなに広いのだ。

 

流石は世界遺産にも登録された、中国屈指の風景区。その巨大な駅のホームには、沢山の国の観光客が溢れている。

 

そして本日の予定は、これからこの桂林のドミトリーで一泊する。さらに明日は、超景観の川下りに挑戦するのだ。

 

さらにこの7時間で、どうやら胃腸は約3割くらいに回復している気がする。少し何か食べたい気分だし、食欲復活祭でも開催したいくらいだ。

 

うう…食べたい…。貪るように、固形物を食べたい…。

 

桂林駅

 

さらに時刻は、まだ15時。次に新幹線に乗る三日後のために、先にチケットも交換しておこうかな。

 

出来るだけ暇な時に交換しておけば、無駄に早起きもしなくていいもの。その分朝ごはんも堪能できるし、今なら受付の人も優しそうだ。(チャンス)

 

そう思いながら片言の中国語でチケットを交換し、お財布にしっかり入れる。するとなんだか、桂林に来た実感がジワリと湧いてくる。

 

 

ついに始まった…。

 

ここから約3日間、この桂林を満喫する。半年前から何度も妄想した、最も楽しみにしていたこの桂林を。

 

そしてその旅を彩ってくれるのは、やはり宿泊先。どれだけ快適な宿かどうかは、めちゃくちゃに重要なポイントだ。

 

しかし今回の宿は、ホテルではなくドミトリー。いわゆるバックパッカーたちが集う、格安に全力を注ぐ系お宿である。

 

昨日宿泊した豪華ホテルとはわけが違う、まさかの1泊160元(約2.720円)。大阪の西成区までではないものの、この旅二番目の格安ドミトリーだ。

 

さらに本日のドミトリーには、計2回お世話になる。もしネズミ先輩が走り回るなら、二晩をご一緒することになるのだ。

 

あぁ、なんて楽しみなのだろう。ここに来て、一気にバックパッカーらしくなってきた。

 

いやむしろ、昨晩が散在しすぎたのだ。本来バックパッカーを自称するならば、平遥古城の様に極寒のリンタクに乗るべきだったのだ。

 

桂林駅

 

そんなやる気を見せつつ、駅前のタクシー乗り場に並ぶ。だって、だから。

 

普通ならスタスタ歩いてしまう距離だけど、この雨と胃腸破壊だ。うんうん、体調管理って、大切だよね。(そゆとこ)

 

 

そして20分近く並んでいると、寒さで次第に体も冷たくなってくる。しかしそれでも快適なドライブを求めて、沢山の人々が並んでいる。

 

なかなか短くならない列に、後ろのおばちゃんが怒り狂う。何を言ってるのかわからないけど、きっと早くおうちに帰りたいんだろう。

 

桂林の怖そうなタクシー

 

そして更に待つこと、5分間。私たちの目の前に、屈強な運転手が現れる。

 

非常に無口で、首元には巨大で特徴的なTATOOが。入れ墨自体は決して珍しくないが、寡黙さと体格でかなりの強そう感である。

 

リュックを彼の愛車のトランクに乗せ、ドミトリーへの行き先を告げる。すると彼は無言でサングラスをかけ、車内へと猛スピードで飛び出した。

 

 …( ゚Д゚)?

ちょっと怖い人なのかな?

 

そんな意識がふとよぎり、少しだけ警戒心を湧き起こす。これは異国の旅なのだからば、一度くらいは怖い経験をするものだ。

 

さらに車内の無言は続き、その異様な雰囲気にさらに警戒してしまう。挙句には、ホントに行き先見てたかな?と、あらぬ疑いまで沸き起こる。

 

さらにビビりの私は、車内をチラ見する。もし助手席にゼクシーなどが置いてあれば、安心できるのになぁと思いながら。

 

桂林の怖そうなタクシー

 

バタフライナイフ…。

 

ゼクシーではなく、ナイフである。もはや穏やかな印象を全く受けない、怖い方がお持ちのアレである。

 

高校時代に他高の生徒に絡まれた時、金髪のヤツが持ってたアレである。そして近くに置いてあった自転車で、友人と猛ダッシュで逃げたアレである。

 

怖い。すごく怖い。

 

首元に入っている巨大な刺青に、ゴリラも嫉妬するような逞しい上腕筋。もしかして彼は、めっちゃ怖い方なんじゃ…。

 

私の不安は爆発し、あわわわと一人で慌てふためく。するともちこに「トイレ?」と、胃腸の心配をされてしまう。

 

もちこにナ、ナイフが!と伝えようとするものの、良く考えればナイフは英語。運転手に分からないようにカ、カタナが!と言い直そうかと考えるが、全然しっくりこない。

 

しかし別に彼が何かしたわけではなく、完全にただの被害妄想。彼は大変ナイスなドラテクで、私たちを乗せてくれているだけ。

 

中には結構やんちゃなお客さんもいるんだ。そのために彼が護身でナイフを持つことに、何も問題ないだろうに。

 

私は大変反省し、大人しく到着を待つことにする。しかし彼から見れば、勝手に怖がられて、勝手に反省されているだけだ。

 

桂林の怖そうなタクシー

 

タクシーはぐんぐん速度を上げ、桂林市内を爆走する。雨降りで滑り易い道路にもかかわらず、さすがの肝っ玉だ。

 

さらに意外なほどすぐに、彼はタクシーを停車させる。着いたよ。と初めて耳にする彼の声は、非常にイケボイスだ。

 

料金メーターに10.5元と表示されているのに気が付き、11元を彼に手渡す。すると彼は、これでいいから。と10元だけをひょいと摘み上げる。

 

シェイシェイ!と告げると、彼はニコッと笑顔を見せる。その爽やかな表情は、そこらの俳優にも負けないカッコ良さだ。

 

おおう…。何というイケっぷりだろう。

 

あんなに悪者に仕上げてしまったのに、実際の彼は素晴らしい青年だ。そしてこれからは、寡黙な魅力の時代かもね?と相方に告げると、激しい同意を頂戴する。

 

そして同時にねこやまはお喋りすぎなんだよと、ダメ出しももらう。そんな小さな敗北感を感じ、ドミトリーに向かって歩き出す。

 

 

しかしなかなかその場所が見つからず、地図で場所を再確認する。どうやら本日のドミトリーは、少し路地を入ったところにあるらしい。

 

そして野良猫が走り回る小道を見つけ、その道に入ってみる。するとそこには、本日の宿泊地が待ち構えていた。

 

見た目で分からぬ、最高ドミトリーEASE HOTEL

見た目で分からぬ、最高ドミトリーEASE HOTEL

見た目で分からぬ、最高ドミトリーEASE HOTEL

 

( ゚Д゚)

 

ここである。何度地図を見直しても、ここである。

 

先ほどから野良猫が猛烈にエサを求めてくる、この路地だ。昨晩の宿とは明らかに異なる、見事なバックパッカー感だ。

 

路地隣では地元のお爺ちゃん達が、じゃらじゃら麻雀に興じている。さらに隣では、下着姿のおばあちゃんが結構ギリな格好で歯磨きをしている。

 

かなり低価格だし、これは結構な場所かも知れない。ドミトリーを探してくれたもちこも、思わずわりぃ!って謝ってるし…

 

ただ、人とドミトリーは見た目で判断してはいけない。もしかしたら世界的なバックパッカーがお勧めする、聖地的な場所かも知れないじゃないか。

 

ドキドキしながら、狭くて暗い路地を進む。すると中から、何やら楽しそうな声が響き渡ってくる。

 

その声にワクワク感も沸き上がり、期待感も膨らんできた。そしてお洒落な落書きの階段を登ると、そこには広々とした受付が。

 

見た目で分からぬ、最高ドミトリーEASE HOTEL

 

綺麗だ。

 

全然お洒落で、全然怖くなくて、全然朗らかだ。入り口では少しヤバいかな?と感じたものの、楽勝と言えるほどの快適空間じゃん。

 

さらに受付にはアメリカ・フランス・韓国と、あらゆる国籍の人々が集う。どうやら彼らは本物のバックパッカーらしく、もちこほどあるリュックを背負う黒人の先輩パッカーもいらっしゃる。

 

そして壁にはなぜか富士山が描かれ、パスタ旨いよ!と英語の表記。さらに足元には綺麗な黒猫がすりより、ようきたな!と挨拶をしてくれる。

 

加えてロビーには麻雀とトランプが置かれ、隣では白人達が啤酒片手にビリヤードに興じている。もうあらゆる国籍が凝縮され、どこから触れるべきが分からない。

 

おお、すごく忙しい。好奇心が暴走する。

 

最高ドミトリーEASE HOTEL

 

そして窓際には、綺麗な猫。このドミトリーには、本当に沢山の猫がいる。

 

きっと日向ぼっこをしているのだろう、大変なシャッターチャンス。ちらっとこちらを見ながら、撮るなら今やでと言った表情だ。

 

微動だにしない彼はきっと、自分の街を見下ろしているのだろう。綺麗な街並みにピタッとはまる、とても素敵な光景だ。

 

EASE HOTELのホテル内
EASE HOTELのホテル内
EASE HOTELのホテル内

 

さらに受付には食事も充実しており、ピザやハンバーガー、パスタにサンドイッチまで。あらゆる国の人々の胃袋に、完全に対応しているじゃないか。

 

加えてロビーにはネットや勉強机も完備、解放感も抜群だ。さらにお値段も驚異の低価格、これは文句のもの字も出てこない。

 

受付でチェックインをお願いすると、とても綺麗な女性の方が現れる。もちこも綺麗な人じゃない?と、ちょっとハイテンションでパスポートを渡している。

 

・ドミトリー EASEHOTEL 2人160元(約2.720円)

 

EASE HOTELのホテル内

 

受付でチェックインを済ませ、部屋のカードキーを預かる。まさかこの低価格で、カードキーを使えるとは夢にも思わなかった。

 

さらに調べると私たちの宿泊プランですら、かなりの高額だ。中には一泊462円という、驚異の牛丼プライスもあるみたい。

 

旅の資金を手持ちで管理しているため個室にしてしまったが、きっとそういうとこ。偽バックパッカーを卒業したいなら、お金をパンツに入れて警戒心むき出しで眠るのが正解だ。

 

 

そんなことを考えながら、部屋に向かう。一体どんなお部屋が、私たちを出迎えてくれるのだろう。

 

EASE HOTELの室内
EASE HOTELの室内

 

ドミトリー内は意外なほど広く、沢山の旅人たちとすれ違う。皆が軽やかに挨拶を交わしてくれ、このドミトリーが快適なのだと実感する。

 

開いた扉の向こうには小さな個室から集合部屋まで、あらゆる空間が並んでいる。恐らく中には、一か月近く滞在している方もいるのだろう。

 

EASE HOTELの室内

 

素晴らしい…。

 

これが二泊お世話になる、私たちの個室…。快適以外の感想が出てこない、素晴らしい開放感じゃないか。

 

さらに窓の外には桂林名物の優美な自然、眼下には漓江と思われる大きな川。耳をすませばそのせせらぎも聴こえてくる、最高のロケーションだ。

 

そしてトイレもまさかのウォシュレットで、もうテンションも最大だ。さらにもちこも、この選択を褒めるべきやで!と、拍手を請求してくる。

 

うん、確かにすごい。よくこの低価格で、このクオリティの部屋を見つけてくれた。

 

しかし、何という快適空間なのだろう。これが一泊一人80元(約1.360円)とは、にわかには信じがたい。

 

これが新宿のカプセルホテルなら…銀座のビジネスホテルなら…。そんな意味のない比較を次々と出し、さらにお得感を楽しんでしまう。

 

 

ようし!


本日もまだ16時、丸半日もの自由時間があるじゃない!あとはもう、この街で精一杯暴れるだけだね!

 

そう考えて荷物をほどき、出陣の準備を整える。するともちこから、まさかの一言を告げられる。

 

寝てなさい。

 

ねこやまは、絶対に外出は許しません。私はこれから一人で、ドラッグストアを探してくるから。

 

まさかのドミトリー待機命令が下り、無茶苦茶に悲しくなる。しかし何度大丈夫だよ!と告げても、女性独特の圧力の前には全くの無力である。

 

ポカリとかいろいろ買ってくるから!二時間ほどで、すぐ戻るから!

 

駄々をこねても、あらゆる言葉で窘められる。しかしどうやら議論の余地はないらしく、私のお留守番が決定する。

 

もうめちゃくちゃに外に行きたかったが、ただこれも私の責任。風邪をひいて自宅で教育放送を見ていた、小学生の記憶が鮮明に蘇る。

 

 

悲しい。猛烈にやんちゃしたい。

 

ただこの旅始まって以来、初めての一人の時間だ。せっかくだから、友人にLINEでも送ろうかな…。

 

そうだ、今中国に来ていて、胃腸が破壊されていること報告しよう。そうすればきっと、次の飲み会では良い笑いのネタになるよね。

 

そう考えて久しぶりのLINEを、ポチポチ起動する。しかしアプリはうんともすんとも、一向に繋がらない。

 

そうか…。ここ、中国だった。

 

LINE・ツイッターは規制され、日本の友人にメッセージなど送れるわけもない。そんな現実を突きつけられ、仕方なく目を閉じる。

 

すると川のせせらぎと共に、綺麗な琴の音が聴こえてくる。どうやら川沿いで、誰かが演奏しているようだ。

 

一泊1800円で、心地良いサウンドトラック付きか。そんなの新宿のラブホテルでもなかったな…。

 

そんなことを考えていると、次第に目が閉じていく。そしていつの間にか、私はぐっすりと眠っていた。

 

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